内田さんの思いを受け継いだ鹿島アントラーズMF荒木が結果を残した。

1-1の後半12分、左サイドでパスを受けると、DFの裏に抜けるMFファン・アラーノが見えた。スルーパスを送ると、内田さんのラストマッチに続く2戦連続のアシストを記録。「自分が点を決めるという強い気持ちで臨むことで、アシストなどが増えてきた。持ち味を表現できた」。精神的支柱が去って初の公式戦。これからの鹿島を支える18歳が輝きを放った。

荒木が初めて観客の前でプレーした、2月1日のプレシーズンマッチ水戸戦。右MFとして先発に抜てきされ、すぐ後ろに位置した内田さんから「ルーキーらしく、思いっきりやれ」と背中を押された。守備のアドバイスをもらい、攻めては決勝点も決めた。「小さい頃から見ていて、一緒にプレーしてうれしい気持ちもあるけど、すごいな、という部分もあります」と話していたが、約半年で、切り札として欠かせない存在に成長した。

内田さんが引退し、広瀬が負傷離脱した右サイドバックには、MF小泉が入った。内田さんが引退会見で名前を挙げ「100%で練習しているのを見て、その隣に立つのは失礼だと思った」と言った存在。持ち前の激しさを随所に見せ、ロングボールに抜け出した相手に激しくスライディングする場面もあった。ザーゴ監督は「彼が残した言葉は『我々は勝ち続ける、強くあり続ける』ということ。実績を残した人の言葉を裏切ってはいけない」と言った。レジェンドの言葉を胸に鹿島はここから浮上を狙う。【杉山理紗】