新型コロナウイルスの影響で延期となっていたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)東地区1次リーグが18日、カタールで再開された。日本勢は24日から登場。FC東京が上海申花(中国)と対戦する。なぜ西地区のカタールで東地区の試合を行うのか。カタール・スターズリーグ(カタール1部)CEOでカタール協会理事のハニ・バラン氏(53)が日刊スポーツの電話取材に応じた。(聞き手=千葉修宏)

カタールで行われた11年アジア杯で4度目の優勝を飾った日本代表のことを、いまでも鮮明に覚えているというバラン氏は「だから日本へとても思い入れがありますし、東地区の試合を開催できることを誇りに思います」という。そして「カタールはサッカーへの情熱あふれる国。そしてアジア全体、特に東アジアのサッカー熱も良く知っています。残念ながら新型コロナウイルスの流行でサッカー界はさまざまな変更を余儀なくされました。でもサッカーの火を消してはいけない」と東地区の試合を招致した理由を説明した。

すでにカタールでは今年9月に西地区の試合を開催。昨季王者アルヒラル(サウジアラビア)でコロナ陽性者が多発し、同クラブが棄権するアクシデントもあったが、全体としては陽性率1・5%程度に封じ込めることに成功。コロナ禍における試合運営のノウハウを得た。バラン氏は「カタールだけで西地区の試合を成功させたとは思っていません。医療関係者や他国の協会の方々、さまざまな人々の力を集めることで選手、スタッフ、その他全員の安全性を確保できたのです」という。

9月の試合では選手、関係者を含めて8000回を超える検査が行われた。東地区の試合ではそれ以上の数になる見通し。また選手、スタッフら全員は「バイオ・セキュア・バブル」という環境下に置かれる。これは医師などエキスパートの助言によって整えられた、生物学的に完全に安全な隔離環境の意味。行動はバブル内のスタジアムやホテルなどに限定され、バブル外の人間との接触はできない。

行動こそ制限されるが、バラン氏は日本の3クラブに向け「カタールの素晴らしいスタジアムを楽しんでほしい」と呼び掛けた。東京が初戦を戦うエデュケーション・シティ・スタジアム、25日にヴィッセル神戸が広州恒大と戦うハリファ国際スタジアム、横浜F・マリノスが上海上港と試合するアル・ジャヌーブ・スタジアムはいずれも22年W杯カタール大会で使用するもの。持続可能で環境に優しいスタジアムとして建設、整備され、最新の空調も完備。現在のカタールの気温は午後1時前後で30度程度だが、ピッチ上は22度に保たれる。

バラン氏は「02年にW杯日韓大会が開催され、日本にも素晴らしいスタジアムがレガシーとして残りました。22年W杯で使用される我々のスタジアムも同様に素晴らしい遺産として残っていってほしい。そして日本の選手たちには、それぞれに特徴のある3つのスタジアムをエンジョイしてほしい」と話した。

◆アジア・チャンピオンズリーグ(ACL) アジアを東地区と西地区に分けて16ずつ、計32チームが参加。東西に分かれて1次リーグを行い、各組4チームの上位2位までが決勝トーナメントに進む。準決勝までは地区ごとに行われ、決勝で両地区を勝ち上がったチーム同士が対戦する。今大会、日本からは昨季のJ1で優勝の横浜と2位の東京、天皇杯を制した神戸が出場している。優勝チームは来年2月に行われるクラブW杯(カタール)の出場権を得る。

◆今大会の変更点 コロナ禍により変則的な開催を強いられている。通常はホーム&アウェー方式だが、カタールでの集中開催。試合日程も東京は上海申花と中2日で2度対戦するなど変則的。また決勝トーナメントは1発勝負になった。西地区はすでに準決勝まで終了しており、ペルセポリス(イラン)が決勝に進んでいる。