川崎フロンターレが天皇杯を初制覇した。1点リードで迎えた終盤は押し込まれる展開が続き、現役ラストマッチとなったMF中村憲剛(40)は最後まで出番なく終わった。それでもベンチ脇で歓喜の瞬間を迎えると、「感無量です。うれしすぎます。おそらく世界で今一番幸せなサッカー選手なんじゃないかと思います」と、頼もしい後輩たちと勝ち取ったタイトルを喜んだ。

出場機会がなかったのは、1点差の展開で指揮官が何より勝利を優先したから。中村も「今日の試合は出ていませんし、フロンターレの形はしっかりとあるので、今までやってきたことは託せるくらい(後輩たちが)成長したから引退できる。何も心配していません」と逆に安堵(あんど)したようだ。クラブ初の2冠も達成し、「18年の最後に、中村史上最高の1年がみんなのおかげで作れてうれしい。フロンターレに入れるような子どもたちを育てることも、フロンターレも、Jリーグも、サッカー協会もそう。日本サッカーに貢献したい」。Jリーグの歴史に残るレジェンドが、新たな一歩を踏み出した。