5大会ぶり6度目の優勝を狙ったガンバ大阪は、川崎フロンターレの壁を3度目の挑戦でも破れなかった。就任3年目で監督として初タイトル獲得に王手を懸けていた宮本恒靖監督(43)は「守備で失点しないこともそうだが、攻撃力をもっと高めないといけない。球際でも相手が上回っていた。もう1、2段階高いものを作り上げないと」と振り返った。

今季は川崎FにJ1リーグ戦で0-1、0-5で敗れていた。この日、今季後半戦で快進撃を続ける要因になった4バックではなく、3バックに変更。事実上5バックになる守備重視の現実的な選択で一発勝負に懸けた。

前半途中から相手に中盤を支配され、ほぼ自陣での戦いとなった。それでも粘り強い守備で無失点で後半へと折り返せたことで、少ない好機でも勝ってきた今季の必勝パターンがG大阪側によぎった。

だが後半10分、ゴール前でうまく崩され失点。指揮官は「後半15分、20分くらいから勝負するプランだったが、その前に点が入ってしまった」と悔やんだ。

宮本監督は選手時代、天皇杯決勝を経験したのは06年度の1度だけ。当時はザルツブルク移籍が決まり、G大阪での最後の試合だったが、浦和レッズに0-1で敗れた。それ以来の舞台で、G大阪にとっても15年度天皇杯以来のタイトル獲得のチャンスだった。

前身松下電器時代の90年度に天皇杯で初優勝したG大阪は、Jリーグ発足後では通算9個のタイトルを獲得してきた。そのタイトルすべてに、昨年10月にJ2ジュビロ磐田に期限付き移籍したMF遠藤保仁(40)がかかわっており、今回はレジェンド抜きでの初優勝が目の前だった。

遠藤の後継者に期待されるMF井手口が、昨年11月初旬から故障で長期離脱し、結局は天皇杯も間に合わなかった。大きな誤算があった一方、関学大から入団した新人MF山本が一本立ちするなど、3列目の人材は豊富になってきた。

主将のDF三浦は「非常に悔しい。G大阪に来てからタイトルを取ってなくて、強い思いがあった」と唇をかんだ。チーム全体が感じた悔しさを胸に、「来季はもっとレベルアップしていかないといけない」と総括した宮本監督。就任4年目となる21年シーズンでさらなる飛躍を目指す。【横田和幸】