サンフレッチェ広島が6年ぶりのJリーグ優勝に照準を定めた。2021年が幕を開け、主将の日本代表DF佐々木翔(31)や東京オリンピック(五輪)を狙うGK大迫敬介(21)、就任4年目を迎えた城福浩監督(59)が、今季の目標に「優勝」を掲げた。J1リーグ戦では森保監督時代の15年以来優勝はない。ワールドカップ(W杯)予選や東京五輪も開催される今季も過密日程は続くが、あくまでタイトルを目指す。【取材・構成=横田和幸】

広島の主将就任2年目の今季、佐々木はストレートな思いをぶつけた。色紙に記したのは「(Jリーグ)優勝」。この2文字で十分だった。

「僕らは常にぎらついた思いがある。まずはJリーグの優勝。そこで優勝すれば(22年の)ACL出場権もついてくる。もちろん、カップ戦(ルヴァン杯、天皇杯)を含めてタイトルを取りたい思いは強い」

20年は日本代表の国内組の活動がなかった。国際Aマッチ9試合の出場経験があり、22年W杯カタール大会を目指す佐々木には、今年は延期されたW杯アジア2次予選も待つ。その重要性は理解した上で、所属クラブで結果を出すことを自らのノルマにする。

主将1年目だった20年はずばぬけた活躍だった。J1リーグは全34試合あったが、先発した32試合で途中交代は腰を強打した最終戦のみ。1試合が出場停止だったため、休んだのは実質1試合。DF荒木の2970分に次ぐ、チーム2番目となる2846分プレーした。

「主将の役目に、しんどさは感じない。数多くの責任はあるが、少しでも仲間にいい影響を与えられるようにしていた」

3バックの左から前線へのフィードは、広島の大きな武器。20年は1得点だったが、セットプレーから得意のヘッドで決めた。ヴァンフォーレ甲府から広島に移籍して今年で6年目。移籍1年目の15年にJ1優勝を達成した佐々木が、自身2度目のタイトルに挑戦する。

◆展望 21年の広島は一部主力の入れ替えは予想されるとはいえ、20年の陣容をほぼ残しての戦いになる。足立修強化部長(48)は「外部から大胆に選手を連れてくるのも補強だが、継続性で対抗するのも補強」と、育成型クラブの軸はまったくぶれていない。

実際にGK大迫、MF森島、東、FW浅野ら、自前で育てた選手が東京五輪を狙える。関大から入団3年目のDF荒木は、いずれ日本代表の主力になるのは間違いない。現代表DF佐々木や元代表MF青山らベテランと若手、中堅の融合具合は日本屈指だろう。

新型コロナウイルスで昨年のJクラブは、練習を非公開とするのが当たり前となった。だが広島は感染者を1人も出しておらず、報道陣には練習を公開し、メディアを通じた発信でファンとのつながりを大切にした。Jリーグ29年目の今季、久々に天下を取る予感がする。