宮城・多賀城市生まれのヴィッセル神戸MF郷家友太(21)が9日、東日本大震災から丸10年を迎える節目に、改めて故郷への思いを語った。神戸市内での練習後、オンライン取材に応じた。

当時小学5年で震災に遭った郷家は「自分の地元が被災して知人も亡くなり、悲しい気持ちから10年がたつ。当時はベガルタ仙台の試合を見て、自分が勇気をもらったのを覚えている。立場が変わって、今度は自分が被災地に勇気を届けられれば」と話し、10日FC東京戦(味スタ)へ決意を込めた。

年末年始には帰省した。「10年前の景色はほぼない」という郷家は「沿岸部はニュースを見ると、家がたってなくて更地のまま。早く復興できればという思いはある」と続ける。

東北出身のスポーツ選手や芸能人が当時、SNS上で励ましてくれた。寄付もあった。「毎週のように、僕の教室にも支援物資が届けられ、助けられた。今度は僕が次の世代へ受け継いでいければと思う」と、東京オリンピック(五輪)も狙える存在は意識を高く持つ。

「僕の記憶が鮮明すぎて、あっという間の10年間だった。記憶が残っているので、そんなに(時間が)たっていない感じ。当時は揺れて、津波が来て、練習が1カ月半ほどできず、初めてサッカーを奪われた。友人は家ごと流されサッカーができなかった。サッカーができるのが当たり前ではない」

名門・青森山田を経て18年に神戸入り。19年度の天皇杯でクラブの初タイトル獲得にも貢献した。入団4年目を迎えた今季、FWの位置でレギュラーに定着した。開幕2試合はフル出場中で、1勝1分けの好発進を飾った。今後も得点に絡む活躍を続け、同じ震災から復興する神戸で日本を代表する選手になる。【横田和幸】