ヴィッセル神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(36)が、待望の今季初出場を果たした。ホーム広島戦は3-0の完勝。主将は3点リードの後半30分から途中出場し、右大腿(だいたい)部に全治4カ月の大けがを負った昨年12月のACL以来、約5カ月ぶりの復帰戦を飾った。

無観客開催でサポーターの拍手はなかったが、イニエスタは万感の思いでピッチに立った。「幸せな気持ち。仲間とピッチでプレーできるのが何よりうれしい」。主にFWの位置に入り、相手へプレスをかける役目を担う。試合終了間際にはFWリンコンとのワンツーを成功。シュート0本も、主将が球を持つことで安定感が生まれた。

神戸が初出場ベスト4に躍進したACLで、その代償として右脚付け根の腱(けん)を断裂し、母国スペインで手術を受けた。年末年始は松葉づえの生活。練習の一環で3月初旬、神戸市にある標高約700メートルの摩耶山に登山した。大好きな日本で孤独なリハビリに耐えた。

「これだけの大きなけが乗り越えるのは、生半可にはできない。チームのために彼は努力してくれた」と三浦監督。同じスペイン人のMFサンペールは「彼はいつも我々に助言してくれた」と感謝する。

「(完治まで)長いけがだったので気持ちの浮き沈みがあったが、努力と練習で乗り越えてきた。これで終わりではなく、また新たな挑戦が始まる」。今後はさらに出場時間を増やしていく。次戦は36歳最後の試合となる9日横浜戦。11日に37歳の誕生日を迎えるスターの完全復活は、まだ先にある。【横田和幸】

◆イニエスタの大けが カタールで開催された昨年12月10日のACL準々決勝水原(韓国)戦に途中出場し「右大腿(だいたい)直筋近位部腱(けん)断裂」の大けがを負う。選手生命を脅かす故障で、全治4カ月の手術を受ける。今年2月の沖縄キャンプも不参加。4月9日から全体練習に合流した。