川崎フロンターレが開幕から19試合負けなしとなり、05年浦和のJ1記録に並んだ。湘南に先取点を奪われたが、途中出場のFWレアンドロ・ダミアンが後半37分にオーバーヘッド弾を決め、1-1の価値ある引き分けに持ち込んだ。

鬼木監督のJ1通算100勝は次戦以降にお預けとなったが、劣勢の試合でも決して負けない、王者の粘り強さを発揮した。

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目の覚めるようなオーバーヘッドだった。0-1の後半37分。ペナルティーエリア内で相手DFを背負ったレアンドロ・ダミアンは、足を上に振り抜きゴールネットに突き刺さるシュートを決めた。「前を向いている選手がいなかったので、ひらめきであのようなゴールにした。明日娘が誕生日なので、娘にささげたい」。約半年ぶりの敗戦の危機から、ギリギリのところで勝ち点1を拾った。昨季からの無敗記録は24試合に伸ばした。

22日の横浜FC戦から、先発5人を入れ替えた。今季10ゴールのレアンドロ・ダミアン、8ゴールのMF三笘、7ゴールのMF家長と、得点源の前線3枚はベンチスタート。先発したFW小林は前半30分に決定機を迎えたが、わずかに合わなかった。

ただ引いて守るだけでなくボール保持者に圧力をかける、走力ベースの湘南スタイルに苦戦した。後半11分、ペナルティーエリア内での相手の粘り強い攻撃に屈して失点。後半21分には途中出場のレアンドロ・ダミアンがGK谷に競り勝って頭でゴールを決めたが、オンフィールドレビューの結果、得点は認められなかった。

いやな流れを、エースの一撃で断ち切った。その後勝ち越しゴールは奪えなかったが、無敗は継続した。16日の札幌戦では、12年~13年の大宮の記録を上回り、シーズンをまたぐ連続無敗のリーグ記録を更新した。この日は開幕から19戦負けなしで、15年に浦和が記録したJ1記録に並んだ。常々「記録を目指してはいない」と話す鬼木監督も、「スタッフと話していると『あのときの大宮はすごかったよね』という話が出る。月日がたってから誇りに思ってもらえる記録を出せるというのは、大事なことなのかな」と、その重みを口にする。

6月の代表活動まで、リーグ戦は残り2試合。鬼木監督の100勝という記録に向けて、川崎Fは無敗街道を走り続ける。【杉山理紗】