名古屋の現役ポーランド代表FWヤクブ・シュヴィルツォク(28)が、ハットトリックでACLデビューを飾った。ベスト16による決勝トーナメント1回戦で大邱(韓国)と対戦。2度リードを許したが、シュヴィルツォクの3得点などで4-2と逆転勝ち。初出場でベスト4に入った09年以来の8強に進んだ。

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シュヴィルツォクが、衝撃のACLデビューを飾った。2-2の同点で迎えた後半20分、相手2人に囲まれながら左サイドを強引に突破。角度のない場所から右足を振り抜き、完全な個人技でハットトリックを達成した。「アイムハッピー。3点も決められて次のラウンドに進めた。1点目は完全なパス、2点目もいいパスがきた。3点目はチームが頑張った結晶。だから私が決めることができた」

J1では今季18試合無失点で最多記録に並んだばかりの堅守が、前半だけで2失点。だが愛称クバは前半12分、FW前田のヒールパスを右足で、後半18分にはDF森下のパスを頭で決めた。2度の同点弾の末に最後は決勝弾を奪った。

今夏の欧州選手権にポーランド代表で出場。1次リーグのスウェーデン戦に途中出場しただけだが、33歳の英雄レバンドフスキの後継者として急成長している。「名古屋は日本でビッグクラブ。欧州同様に好プレーを見せたい」と8月に加入。公式戦7試合3得点と結果を出していた。

この日、日本選手以上の情熱も見せた。1点を追う後半開始直前の円陣では英語で「我々の方が勝利に値するチームだ」と仲間を鼓舞し、DFキム・ミンテらがうなずいた。心身とも名古屋を引っ張り、フィッカデンティ監督は「フィニッシャーだから名古屋に来てもらった。高い能力を見せてもらった」と喜んだ。

得点力が課題の名古屋は今季、公式戦で初めてつかんだ逆転勝利。欧州の本物の点取り屋加入で、09年の過去最高ベスト4はもちろん、悲願のアジア制覇も夢ではない。【横田和幸】

◆ヤクブ・シュヴィルツォク 1992年12月28日、ポーランド生まれ。母国クラブのポロニア・ビトムでプロ生活を始め、カイザースラウテルン(ドイツ)などを経て、母国ピアスト・グリヴィツェから今夏に名古屋入り。各年代の代表経験があり、17年11月にA代表デビュー。国際Aマッチ通算6試合1得点。184センチ、86キロ。愛称クバ。

▽名古屋DF中谷 クバも点を取ってくれて、最後(自分が4点目を)取れてよかった。名古屋でACLを取りたい。

◆名古屋のACL ストイコビッチ監督時代に3度出場し、初出場した09年のベスト4が最高。DF吉田、MF小川、FWケネディらが主力で、決勝T1回戦で水原(韓国)、準々決勝で川崎Fを破り、準決勝はアルイテハド(サウジアラビア)に2戦合計3-8で大敗。11、12年は決勝T1回戦(ベスト16)で敗退。

◆ACL決勝トーナメント コロナ禍の影響もありホームアンドアウェー方式ではなく、決勝まで一発勝負で開催される。東地区の準々決勝は10月17日、準決勝は同20日に、いずれも韓国・全州で集中開催。決勝は11月23日(西地区で開催)。試合は90分間で勝敗が決しない場合、30分間の延長戦を行い、それでも決しない場合はPK戦に突入。

▽大邱・李■(■は日ヘンに丙)根監督 名古屋は背番号8(柿谷)が出てくると思っていたが、40番(シュヴィルツォク)だった。前半はうまく止められたが、攻撃力があり、後半はミスもあって相手のチャンスにつながった。