日本サッカー協会(JFA)は7日、第100回全国高校サッカー選手権で準決勝に進出している関東第一(東京B)の登録選手2人から、新型コロナウイルス感染症の陽性反応が出たと発表した。関東第一は出場を辞退する。これにより、8日に予定されていた準決勝の大津(熊本)-関東第一は中止となり、大津が不戦勝で10日の決勝に進出することが決まった。

新型コロナの感染急拡大が、記念すべき第100回大会を迎えた高校サッカー選手権を襲った。規定では、大会期間中に感染者が出た場合の対応について「そのチームは辞退、または予備登録選手がいる場合には、代替出場へ移行すること」と定められている。正規登録チーム(選手30人)に代わる予備登録チーム(選手14人)での出場について、大会側と関東第一で協議した結果、辞退が決まったという。

同校の小野貴裕監督は、JFAを通じて「今大会だけでなく、この2年間できる限りの対策を講じてきました。それでも陽性者が出てしまった以上、大会、相手校に迷惑はかけられないと判断しました。チームは動揺が隠せない状況ですので、個別の取材はご遠慮頂けますと幸いです」とコメントを発表した。国立競技場で華々しく開幕戦を戦い、その後は土壇場での劇的な得点で4強まで勝ち上がってきた関東第一。国立競技場を舞台に戻す準決勝を前に、無念の辞退となった。

東京都の新規感染者数は、大会が開幕した昨年12月28日時点で46人だったが、年明けから急増してこの日は922人に。感染力が強いとされるオミクロン株の流行により、全国の感染者数は約3カ月半ぶりに6000人を超えた。沖縄県、山口県、広島県にまん延防止等重点措置が適用されるなど、全国的な流行となっている。

準々決勝翌日の5日には、敗退した2校の関係者から新型コロナウイルス陽性反応が出たと発表された。いずれも敗退後に体調不良を訴え、その後陽性が確認されたため、大会そのものへの影響はなかった。勝ち残っている学校から感染者が出たのは、今大会初めて。1年前の前回大会は全日程を無事に終えることができたが、記念大会はウイルスに妨害される形となってしまった。

大会実行委員長を務める、全国高体連サッカー専門部玉生謙介部長は「100回大会でこのようなことになったのは大変無念です。関東第一はこれ以上ない感染対策をしてきたと聞いています。それでもこのような事態になり、関東第一の関係者の方々を思うと胸が痛みます。残りの2試合に関しましては、より一層の感染対策を講じ選手、関係者の安心・安全を確保して実施をしてまいります」などとコメントを発表した。

準決勝第2試合の高川学園(山口)-青森山田は、予定通り8日午後2時20分キックオフで実施される。

 

◆新型コロナの影響を受けた高校スポーツ◆

 

◆バスケットボール 20年12月の全国高校バスケットボール選手権(ウインターカップ)では、集団感染が発生した男子の市船橋(千葉)と、男女ともに土浦日大(茨城)が欠場。入館時に発熱が認められた男子の光泉カトリック(滋賀)と実践学園(東京)は棄権となるなど、男女計7チームが欠場や棄権となった。

 

▼バレーボール 21年1月の全日本バレーボール高校選手権(春高バレー)では、男子の前回優勝校東山(京都)が選手1人に発熱者がいたため棄権。これにより3回戦で対戦予定の高松工芸(香川)が不戦勝となった。

 

◆野球 21年8月の全国高校野球選手権(甲子園)では、宮崎商が大会直前に、東北学院(宮城)が2回戦を前に、選手のコロナ感染により出場を辞退した。宮崎商は13人の陽性者が出る集団感染に。東北学院は選手1人が陽性、選手3人が濃厚接触者となったが、当事者が特定される恐れがあるため出場を辞退した。