熊本県八代市の私立、秀岳館高で、30代男性コーチが3年生部員に暴行して書類送検されたサッカー部において、日本協会(JFA)の須原清貴専務理事(55)が、東京から同校を訪れて、約3時間事実確認を行ったことが2日、分かった。

異例ともいえる日本協会幹部の直接出馬だった。関係者によると「専務理事は、じかに聞きたいということで来られた」という。

日本協会からは、すでに4月27日に担当者が同校を訪れて、事情聴取を終えている。

にもかかわらず、協会トップ級がゴールデンウイークのはざまにある平日を利用して、協会として2度目の聞き取りを敢行した形だ。

なお現時点で書類送検されたコーチの暴行事件について、警察から新たな報告はない。

サッカー部の段原一詞監督(49)、入部予定だった県外からの中学3年生に寮で暴行したとされる当時2年生部員1人は、現在も自宅謹慎のままだ。

また同校は、収拾のつかない暴力問題に関して、近日中に記者会見を開いて、説明責任を果たす予定であることも判明した。

 

秀岳館サッカー部暴力騒動経緯メモ

◆4月20日 第三者からの連絡があり、学校側が、サッカー部の寮内で部員が30代の男性コーチから殴る、蹴るの暴行を受けている動画が拡散している事実を確認。

◆同21日 県警が午前中に学校を訪れて、3人が事情聴取を受けた。

◆同22日 選手11人がサッカー部公式ツイッターに経緯説明の動画を投稿して、謝罪を行った。学校関係者の姿はない動画だった。

◆同23日 謝罪動画は再生回数100万回を超えたが、削除された。23、24日のリーグ戦6試合が延期になる。

◆同25日 学校は、学年ごとの集会を開いて、合計3時間にわたって、生徒約1000人に事情を説明。段原監督はテレビ生出演で一連の騒動を謝罪。一方で、暴力動画を拡散させたとされる部員2人を加害者扱いして、強い口調で責める、同監督の音声がツイッターに投稿される。

◆同26日 学校が、ツイッターの音声について、同監督の不適切発言だったことを認めて、謝罪。また暴行をした当該コーチが、すでに退職願を提出していたことが判明。ただ学校側は警察が捜査中であるために、その扱いを保留している。段原監督も当面の自宅謹慎処分となる

◆同27日 熊本県協会と日本協会が学校側にヒアリングを行う。また、部員も入学予定の中学3年生に暴力を振るい4月18日まで、警察の調査を受けていたことが判明。サッカー部と同校公式サイトが閲覧停止になる。

◆同28日 5月8日までの3週連続で、同校出場予定の週末のリーグ戦が延期されることが判明した。

◆5月2日 日本協会の幹部である須原清貴専務理事が、県協会の2人とともに、学校側に事情を聴く。