セレッソ大阪が通算57度目の大阪ダービーを逆転で完勝した。1点を追う後半に3発の猛攻を浴びせ、3-1でホーム2連勝。幸福の神様「ビリケンさん」が来場すれば7勝3分けとし、不敗神話を継続した。ビリケン似のMF奥埜博亮(32)が、2ゴールを含む全3得点に絡む大活躍。宿敵に通算19勝11分け27敗と大きく負け越すものの、最近10試合は6勝3分け1敗と相性が一変した。

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通天閣の公認キャラクター「ビリケンさん」がいれば、C大阪は強い。前半に一瞬のスキで先制点を奪われたものの、後半だけで3発の逆転劇。14本と2本のシュート数が物語る、内容まで圧倒したダービー史に残る完勝だった。

「互いのクラブの総合力を懸けた試合だと思っていた。主将清武を中心に、いい準備ができた。このような勝ち方ができたのは、チームの成長を感じる」と、小菊監督はうなずいた。

ボランチの奥埜がこの日、得点力アップのために2列目もカバーし、縦横無尽に走り回った。総走行距離12.3キロは両軍合わせて最長。主将のMF清武が「あそこにいるのは、すごいの一言。僕も勉強になる」というほど、すべての局面に顔を出した。

FWタガートの同点弾を演出し、自身は勝ち越しヘッドに、後半最後は高速カウンターのフィニッシャーまで演じた。奥埜は「前に絡めるチャンスがあれば、どんどん行こうと思っていた。全員でいい準備ができた結果、この勝利につながった」と控えめに喜ぶ。

奥埜の顔はビリケン似で有名だ。19年に仙台から移籍後、ビリケンさんが来場すれば3試合で3ゴール。J1通算37得点と決してゴールで勝負する選手ではないのに突然、スーパーマンに変身できる。

開幕前の必勝祈願で御利益があるという、ビリケンさんの足の裏を触っていた清武は「最後に(ベンチに鎮座していた)ビリケンさんに気付いた。いるやん!」。小菊監督を中心にピッチ内外の規律を追求するC大阪は、7位へ浮上した。ビリケンさんの力も借りつつ、次は優勝戦線に絡みたい。【横田和幸】

◆大阪ダービー 95年5月3日にJリーグ第1ステージで初対戦し、森島らを擁するC大阪がバルデスの得点で1-0と勝利。その後はルヴァン杯(前身ナビスコ杯)や天皇杯、ACLでも対戦。公式戦通算はC大阪の19勝11分け27敗、J1では13勝7分け23敗で最近6戦は4勝2分けと不敗が続く。前回4月のルヴァン杯では両軍の対決で初のスコアレスドローに。

◆ビリケンさん 庶民の味方として古くから世界中で愛されてきた幸福の神様。1908年に米国の女性芸術家が「夢の中で見た神様」をモデルに制作した作品が起源とされる。日本ではC大阪のホームタウン大阪市の通天閣にある像が有名で、C大阪は毎年の必勝祈願が恒例行事に。

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