札幌光星が81年以来41年ぶり全国に王手をかけた。0-0で突入したPK戦で札幌創成を4-1で制し、2000年以来22年ぶりとなる決勝進出を決めた。延長後半終了間際の10分に投入された1年生GK米田幹汰が好セーブで勝利をもたらした。17年ぶり連覇を狙う北海は北海道大谷室蘭を1-0で下し、2年連続のファイナリストになった。決勝は23日、同会場で行われる。

決勝切符を手にしたのは度胸満点の1年生GK擁する札幌光星だった。延長戦含め100分はスコアレスドローで、PK戦にもつれ込んだ。4人目のキッカーが成功した瞬間、勝利が決定した。米田は跳び上がりながらガッツポーズ。「うれしい。『やった』って感じです」。先輩たちからもみくちゃにされながら、歓喜の輪の中心で笑った。

PK戦に備え、小林宏之監督(42)から延長後半10分に送り出された。札幌創成2人目のキッカーがボールをセットすると、米田が両手をくねくねとしならせ、まるでタコのような動きを見せた。チームメートらもざわつく中、米田は一心不乱にくねくね。そして冷静にシュートコースを読み切り、左手ではじいて止めた。公式戦では初披露の秘技は「相手の集中力をなくすため」。5週間前の同じ相手との練習試合で試し手応えをつかんでいたが、ここぞの場面で成功した。相手3人目の失敗で3-1となり、味方4人目が決めて決着した。

今夏の全国総体2回戦聖和学園戦で、2-2の同点に追いついた直後の後半ロスタイム3分に投入された。だが終了間際の同7分。FKから勝ち越しゴールを許して敗れた。「もう1回あの舞台に立ってしっかり結果を残せたら」。全国での悔しさを晴らそうと、今大会に臨む。

小学4年時からPK戦は7戦7勝という強さを誇る。J1札幌の韓国代表GKク・ソンユンにあこがれるルーキーは北海との決勝に向けて80分での勝利を望みながら「自分の出番が来た時は胸張ってできたらいいかな」と備える。身長は178センチとGKとしては小柄ながら、チームに大きな安心感をもたらす存在だ。【保坂果那】

○…札幌創成は4年ぶりの準決勝だったが、初の決勝をあと1歩で逃した。攻撃の組み立てでは札幌光星を上回り、前半20分にはGKとの1対1を迎えるなどしたが絶好機を生かせず。フル出場し、無失点に貢献したDFラングフォード海渡主将(3年)は「1日でも長くこのチームでやりたかった。悔しいですが、今日できる最大のことは全員やった」と言葉をしぼり出した。