横浜F・マリノスが、3年ぶり5度目の優勝を決めた。敵地でヴィッセル神戸戦と対戦し、3-1で勝利。勝ち点を68まで伸ばし、2位川崎フロンターレを振り切った。アンジェ・ポステコグルー前監督(現スコットランド1部セルティック監督)時代の19年シーズン以来のリーグタイトルを手にした。

試合後のインタビュー。MF喜田拓也主将(28)「誰もがチームを信じてやってきた。報われて良かった。マリノスファミリーみんなのおかげ」と涙声で話した。FW西村拓真(26)は「優勝最高でーす!!」と叫び、目には涙があふれた。マスカット監督は「特別な瞬間を夢見て、積み重ねてみんなで優勝を得ることができた。歴史に残る優勝だ。みなさん、素晴らしいサポートをありがとう。今晩はパーティーをしてください」と笑顔で話した。

一進一退の試合を制した。先制点は横浜だった。前半26分、右サイドからのFW水沼宏太(32)のセンタリングを相手DFがクリア。その浮き球をFWエウベル(30)が頭で決めた。しかし、前半終了間際に神戸FW武藤嘉紀(30)に同点ゴールを奪われた。

待望の勝ち越しゴールは後半8分だった。FW水沼のFKは相手GKにはじかれたが、FW西村が詰めて押し込んだ。同28分には再びFW水沼からの右クロスを途中出場の仲川輝人(30)がゴールに流し込んだ。優勝を確実にする一発になった。

攻守で抜きんでた力はデータに表れる。前節を終え、リーグ最多67得点、最少34失点。得失点差+33は2位の川崎フロンターレに11もの差をつけた。得点数でチームトップのFWアンデルソン・ロペスら、今季の新戦力がフィットした。19年優勝時の得点王FW仲川輝人(30)や司令塔FWマルコス・ジュニオール(29)がスタメンから外れるなど、屈指の選手層を誇った。

5月25日のホーム京都戦(2-0)を皮切りにリーグ6連勝。9月には10日の福岡戦(1-0)で日産スタジアムでの公式戦10連勝を達成するなど、シーズンを通して盤石の強さを見せ続けた。

悲劇にも襲われた。7月には、日本代表として東アジアE-1選手権に出場したFW宮市亮(29)が右膝靱帯(じんたい)断裂の大けが。大会後の初戦となった鹿島戦では「トリコロールの宮市亮 再びピッチで輝け 待ってるぞ」の横断幕が掲げられ、選手は宮市の背番号17が入ったウエアを着てウオーミングアップした。FW水沼宏太(32)は「宮市にシャーレを掲げさせてあげたい」。仲間のためにも走り続けた。

今月8日のホーム・ガンバ大阪戦の時点で優勝の可能性があった。そこまでホームではリーグ14戦11勝3分け無敗と圧倒的な強さを見せ、期待が高まっていた。しかしG大阪、さらに12日のジュビロ磐田戦と、下位に低迷する相手にまさかの連敗。この日を迎えるにあたり、前年覇者の川崎Fとの勝ち点差は2まで縮まったが、最終節でタイトルをものにした。

クラブ設立30周年を迎えた今季。7月2日の清水エスパルス戦では、93年のJリーグ開幕戦で歴史的な初勝利を挙げたときと同じ国立競技場で、史上2クラブ目のリーグ500勝も達成した。メモリアルなシーズンを、リーグ優勝というこの上ない形で締めくくった。

▽マスカット監督 小さな結果を積み重ねた先に頂点が見えると常日頃から選手に伝えてきた。自分たちの攻撃的なサッカーを見せて勝った。選手を誇りに思う。(今後は)娘が結婚したので、1週間後の結婚式に行きます。

▽DF岩田 常に緊張していた。これを味わえるのはこの順位にいるからこそ。優勝したけど個人は課題もある。もっと成長した姿を見せられるようにしたい。

○…MF西村が殊勲の勝ち越しゴールを決めた。1対1の後半8分、MF水沼がFKで狙ったシュートのこぼれ球に詰めた。今季10得点とし、得点ランキングでも日本人3位に食い込んだ。終了後は感極まって涙を浮かべ「このチームの仲間と出会えたこと、結果を出せたことがうれしい」と喜びに浸った。

○…優勝を決定づける1発を決めたのはFW仲川だった。後半28分、水沼の右クロスに走り込んで右足ダイレクト。途中出場からわずか3分でゴールを刻んだ。優勝した19年シーズンの得点王だが、競争の激化で今季はベンチスタートも増えた。それでもここ一番で存在感を示した。「スタメンで出たい気持ちはあるが、出たときに特徴を出せるように。仲間のために何ができるか」と、フォア・ザ・チームの心をプレーに込めた。