横浜FCからポルトガル2部オリベイレンセへの期限付き移籍が基本合意に達している元日本代表FWカズ(55、三浦知良)が21日、渡欧前の最後の実戦で得点を決めた。鹿屋体大との練習試合に後半途中から出場。右からの折り返しに倒れ込みながら右足でゴールを奪った。横浜FCの宮崎・日南キャンプ参加はこの日で終了。近日中に現地入りする。新天地へ向かう前に自ら移籍を前祝い。新天地へ景気付けの1発を決めた。

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カズダンスはなかった。少し、どこか遠慮気味にカズは笑みをこぼした。「みんなの協力を得てゴールを挙げられたこと、ちょっとはお返しができて良かった。ゴールでお返しすることができて良かった」と繰り返した。感謝の言葉しかなかった。18日の練習試合は無得点に終わった。現役にこだわり、結果を求め続けるサッカー界のキング。だからこそ、ゴールというかたちで、恩返ししたかった。

移籍は発表前だが、自ら門出を祝う形ともなった。鹿屋体大とのトレーニングマッチ。途中出場から約10分後だった。右サイドからのマイナス気味のクロスに、相手を背負いながら反応。右足を振り抜いた。ゴールのニアサイド上を打ち抜く、技ありのシュート。新天地合流に向けて、国内最後の実戦だった。「次、いいかたちで進めるかなと思います」と“今季初得点”で弾みをつけ、ポルトガルへ向かう。

渡欧に向けた調整の場を提供してくれた横浜FCの宮崎キャンプ参加は、この日まで。「横浜FCの関係者のみなさんに感謝したいと思います。約2週間参加させてもらって、試合にも2試合、出させていただいた。今できることをやれたかなと思う。J1の強度でキャンプを過ごせましたし、いい準備ができた。本当に良かった。本当にみんなに感謝したい」。充実した練習を終え帰京した。

来週中に現地に入る。メディカルチェックを受け、正式にサインする流れ。早ければ今月中にもオリベイレンセへの期限付き移籍が発表されるという。2月26日には56歳になる。プロ38年目のシーズンはブラジル、イタリア、クロアチア、オーストラリアに続く、海外5カ国目の挑戦。「自分のやれることをしっかりとやっていきたいと思いますし、これからも全力を尽くして、どこに行っても、自分らしくやれたらいいなと思います」。レジェンドの旅は続く。【栗田尚樹】

<カズのここまで>

◆昨年12月7日 W杯カタール大会の最中、ポルトガル2部のオリベイレンセへの移籍の可能性が浮上。現地で施設チェック、監督らとの話し合いのためポルトガルへ向かった。

◆同12月10日 ポルトガルから帰国。オリベイレンセ以外に、Jクラブからのオファーも明かす。

◆1月8日 オリベイレンセへの期限付き移籍が基本合意に達したことが判明。調整のため、横浜FCの宮崎キャンプに参加。

◆1月16日 JFL鈴鹿が期限付き移籍期間満了に伴う退団を発表。

◆1月20日 自らの口で初めて「ほぼ合意しています」と移籍を認めた。

◆1月21日 渡欧のためキャンプ地を離れる。