J2ベガルタ仙台屈指のゲームメーカーが、今季初の連勝を呼び込む。チームは22日、仙台市内で約2時間調整。19年の加入以降、度重なるけがに悩まされてきたMF松下佳貴(29)は、前節19日のアウェー、ザスパクサツ群馬戦で今季初先発し、先制点を演出する活躍で勝利に貢献した。25日のホーム、ツエーゲン金沢戦でもスタメンをつかみ、チームを勝ち点3に導く。

松下が「攻撃は最大の防御」を実践する。今季初先発した群馬戦は中盤の底のアンカーでプレー。前線への浮き球パスで先制点の起点になり、その後も得意のスルーパスで決定機をつくるなど試合を組み立てた。一般的にアンカーは守備的な選手が多く、松下のような司令塔タイプは少数派。それでも「(自分が)数多くボールにさわれれば、チームの攻撃がスムーズになるというか、自分たちの時間が増えると思っています」。攻守のバランスを意識した上で長短のパスを操り、敵陣でのプレーを長くして失点リスクを減らす。

前節は約1年5カ月ぶりに公式戦でフル出場した。「きつかったですね。疲労度は多少ありましたけど、今年はキャンプで順調にプレーしてつくってきた土台が自分の中であるので、ここで90分戦えたのはすごく大きいと思います」。昨年1月のトレーニング中に右膝前十字靭帯(じんたい)を損傷するなど、仙台に加入した19年以降は度重なるけがに苦しんできた。今季は5試合を終えて先発1、途中出場2、ベンチ外2。出場時間は3試合で計106分と多くないが、完全復活へ1歩前進した。

「(ゲームの)プロスピ(プロ野球スピリッツA)しているんで」と野球好きだという松下。仙台が次戦に向けて調整している最中に、侍ジャパンがWBC優勝を決めた。これまでも画面越しに大会を観戦。この日も「みんな練習ギリギリまで(中継を)見てました」と選手たちの様子を明かしつつ、練習後に日本の優勝を伝え聞き「いや良かったです」と笑顔を見せた。

今季初の連勝へホームで金沢を迎え撃つ。ここまで2勝2分け1敗で「連勝して勢いに乗りたいので、その力になりたいなと思います」。2戦連続のスタメンを勝ち取り、司令塔としてピッチに君臨する。【山田愛斗】