ユース世代からともに日本代表でプレーした清水エスパルスの市川大祐コーチ(43)も、小野の引退をねぎらった。同じ静岡で生まれ育ち、初対戦は清水ジュニアユース時代の中1だった。「1歳上でこんなにうまい人がいるのかと衝撃しかなかった」と沼津・今沢中との対戦を懐かしんだ。
高2のユース代表でチームメートとなり「本当にどんなボールも止まるし、いろんなボールが蹴れるし、受け手がプレーしやすいパスを出してくれた。思いつかないタイミングでのパスにも驚かされた」。Aマッチデビューとなったフランスワールドカップ(W杯)イヤーのアウェー日韓戦では、ともに17歳と18歳という異例の若さで日本代表に招集された。まだスタメンかどうかわからない試合前日、雰囲気を察知した小野から「イチ、先発あるぞ。頑張れ」と言われ、浮つかずに本番に臨めた。「年上、年下とか関係なく気配りができ、誰からも愛される人。だから小野さんの周りには自然と人が集まる」。
今後については「どういう方向に進むかわからないですけど、いろいろな経験をしてきた小野さんしか知らないような『本物』を伝えていってほしい。教えられる者にとって、絶対に特別なものになりますから」とエールを送った。【野上伸悟】