キャプテンがチームを救った。川崎フロンターレのMF橘田健人主将(25)が蔚山現代戦の後半44分、決勝ゴールを決めた。過去9度対戦し、1勝4分け4敗と相性が悪かった相手を1-0で振り切った。開幕2連勝でI組首位に躍り出た。
会心の一撃だった。橘田は、引き分けが濃厚になってきた後半44分、DF山根の右クロスを中央で拾ったMF遠野にパスを要求。右足を思い切り振り抜き、約25メートルのミドルシュートをゴール左にぶち込んだ。「まっすぐ振り抜こうと思って、いいコースにいってくれてよかった」と素直に喜んだ。
直近のリーグ戦アルビレックス新潟戦にホームで敗れ、リーグ優勝の可能性が消滅。ACLに気持ちを切り替えるしかなかった。自分たちより1日短い中2日で乗り込んできた相手に対して、前半からアグレッシブに戦った。さまざまなやり方にチャレンジしてきた守備も、従来の形に戻し、はまった。
アンカーの位置で先発した橘田は、攻撃時には積極的にボールに関わり、守備時には広範囲に動いてボールを奪った。「簡単な試合にはならないと思っていた。最後まで全員が集中して戦いきったから勝つことができた」。
今季主将に就任するも、リーグ戦では低迷。自身もベンチメンバーを外れるなど、苦しい時間が続いた。「どんな状況でも活躍したい気持ちはずっともっていた。直接自分のゴールで勝たせられたことは本当にうれしいことなので、腐らずにやり続けてきて本当によかった」と表情を緩ませた。
蔚山現代は大きな壁だった。21年は決勝トーナメント1回戦で0-0からのPK戦で苦杯をなめ、昨季は1次リーグで1分け1敗。そんな苦手意識も断ち切った。一皮むけた主将は「ここからもっと気を引き締めて全部勝てるようにしたい」と力強く誓った。【佐藤成】