J1は残り5試合。アルビレックス新潟は6季ぶりのJ1舞台で勝ち点36(11位)を積み上げ、シーズンひと桁フィニッシュを狙える位置につける。攻撃サッカーを展開する松橋力蔵監督(55)のもと、先発選手はもちろん、8月以降は途中交代で流れが変わる試合が目立つようになった。9月は4戦2勝2分けと負けなしだった。ベンチから「スーパーサブ」を送り出す安野努フィジカルコーチ(45)に選手の能力をどのように引き出してるのかを聞いた。【聞き手=小林忠】
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-途中出場選手が試合を動かす。ベンチワークで大切にしていることは
「ハーフタイム(HT)でトップコンディションまで上げ、その後は体温、筋温維持、心拍上昇を意識し、サッカー的動作やケガ予防のエクササイズを入れたステップワークを組み込んで出番を待ちます」
-途中出場選手は試合になじむことが難しい?
「急激に心拍が上がりすぎてアップとのギャップがあると乳酸がたまる。心拍が平常時60で、最大心拍が180だとする。運動して突然、直線的に60→180に上がるわけではなく、1度100ぐらいまでいったら少し落ち着き、120~180と段階を追いながら最大心拍に近づく。HTやアップの中で必要な心拍の状態をいかに作り出せるかが鍵になります」
-残り30分付近から交代カードを切る展開が多い
「状況によるが、そこに向けて状態を作って名前が呼ばれればリリースする。呼ばれなかったら乳酸がたまる状態ぐらいまで最大心拍を作る。乳酸が別に悪いことじゃないし、有酸素に戻せばそれが分解され、逆にエネルギーになる。1度ぐっと上げ、残り20分ぐらいはコントロールします」
-モチベーターの役割も
「ベンチスタートとなった悔しさを感じるので、出場時間で90分間分のエネルギーをぶつけてこい、たたみかけてこいと伝える。途中出場選手が活躍できて初めて、いい準備ができたと感じます」
-J1とのフィジカル差はどう埋めた
「継続は力なり。体作りは地道に積み上げていくと変化が出てくる。時間をかけたものは簡単には失われない。体を効率よく機能的に、スムーズに動かせるように、ジムでの筋トレをグラウンドワークの中のステップワークだったりスプリントの動作に変換する。ちょっとしたものが雪だるまのように回りながら大きくなるようなイメージでプログラムを進めています」
-課題は
「序盤戦は試合後のダメージが大きく回復が間に合わないように感じた。勝ちきれない、終盤までリードしていても追いつかれる。その部分はより引き上げたいと感じました」
-回復力は日々の練習で身につく?
「能力が100%ギリギリの状態だとする。それを110%に持っていけたら、同じ能力でも80、90%に感じる。余力があって戦っているのと常にギリギリで戦っているのではダメージ、回復力が全然違う。その部分のキャパを増やすことにも注力しています」
-夏もスプリント数や走行距離で高数値を出した
「強度の質を高く保ちながらピッチ練習は1つ1つのセッションをコンパクトにした。練習前後には体重測定し、睡眠時間、食事、疲労のデータなど細かく取った」
-前向きな言動で選手のハートをつかむ
「きついことを『やるぞ』と持っていかないといけない立場。どんなにいいものでも本人たちがやろうと思ってくれないと効果がない。意味や意図を説明して進めています」
-残り5試合
「選手は走れる、跳べる、ぶつかっても倒れない体をベースに技術、戦術理解といったものを持ち合わせていなければならない。けがをしない体作りと競技力向上が託されたタスク。選手たちが躍動し、勝ち点3を奪えるよう、貢献していきたいです」



