プレミアリーグ初挑戦の帝京長岡(新潟)が、神村学園(鹿児島)を4発で粉砕し、850人の観衆が詰めかけたホーム開幕戦で初勝利を挙げた。

ダブルエースがそろい踏み。FW新納大吾が前半6分と同26分、後半24分にゴールを奪いハットトリックの大爆発。相棒のFW安野匠(ともに3年)は1得点2アシストを決めた。守備陣も奮闘。U-17日本代表FW名和田我空(3年)を封じ込めて、完封した。

  ◇  ◇  ◇

チームの「2枚看板」が大勝に導いた。まずは新納だ。前半6分、右足ボレーでチームのプレミアリーグ初得点を奪った。勢いづくと同26分、縦パスを受けた安野のフリックに抜けだし、最後はGKとの1対1を制してゴールネットを揺らす。3-0の後半24分にも再び安野のラストパスからゴールを決めて、ハットトリックを達成した。1月に負った右足第5中足骨骨折から復帰したばかりの背番号9は「(ハットトリックは)1点目を決めた時点でいけるな、と。うれしい。良さが出せた」と胸を張った。

安野も負けじと1得点2アシストの活躍。2-0の前半33分、右をえぐった新納にクロスを要求すると、相手のマークを腕でブロックしながら右足で押し込んだ。「ファウル気味だったけど、PKでの得点は嫌だった。しっかりと踏ん張れた」。ゴールシーン以外でも力強さと技術を織り交ぜたドリブルで相手守備陣にダメージを与え続けた。ただこの日のゴール数は新納に軍配。「互いにエゴのかたまり(笑い)。2人で得点王争いがしたい」と今季エースナンバー14を背負う点取り屋は声を弾ませた。

チームは昨年12月、プレミアリーグ参入戦6度目の挑戦で初昇格を決めた。迎えた7日の今季開幕戦は、昨季同リーグWEST王者のサンフレッチェ広島ユースに0-2の完封負け。そこから1週間で攻守の強度、持ち味であるパスワークを再確認し、この日の一戦に臨んだ。ボールも人もよく動くサッカーで猛攻を仕掛け続け、守備も最後まで集中して無失点。チームの全得点をたたき出した2トップは「次で負けたら今日の勝利の意味がなくなるので、次も勝つ」。次節21日の米子北(鳥取)戦に向け、早くも気持ちを切り替えていた。【小林忠】

 

○…初のホーム開幕戦には850人の観衆が詰めかけた。帝京長岡の下部組織的存在である長岡ジュニアユースFCの子どもたちがエスコートキッズを、同U-15の選手たちがボールボーイを務めた。「長岡市にサッカー文化を根付かせたい」。00年に監督就任、16年から現職の谷口哲朗総監督の思いが形になってきた。同校OBでもある古沢徹監督は「うちのサッカーを見て帝京長岡でプレーしたい、という子どもたちが増えて欲しい。選手もそれを自覚し、プレーで表現してくれた」。地域とともに、もっと強くなる。