身売り騒動に揺れた横浜が、アウェーで柏に0-1で敗れた。前半18分にFW谷村海那(27)がゴールネットを揺らしたもののVARからのオンフィールドレビューで得点が取り消された。その後にCKから失点し敗れた。親会社の日産自動車が前日3日に「筆頭株主であり続ける」と声明を出し、身売りを否定。騒動にいったん終止符が打たれた中、J1残留への火をともせなかった。ただ勝ち点31で並ぶ18位横浜FCも福岡に0-1と敗れ、残留圏ギリギリの17位をキープしている。
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温厚な大島監督が苦言を呈した。「逆にみなさんにあのジャッジはどうだったか意見を聞きたい」。前半18分、右からクルークスが送ったクロスボールを谷村が左足で押し込んだ。チームを勢い付ける先制点。しかしVAR介入からの審議でゴール前へ進入する際の谷村にファウルがあったとされ得点は取り消された。「先に相手が引っ張っていたが映し出されたアップのシーンは海那(谷村)が手を出したものだった」。勝ちたかった。悔しさが色濃くにじんだ。日産時代から脈々と続く伝統を守るため、J1残留への火を灯すためにも。
9月29日、世間に衝撃を与えた「マリノスの身売り検討」。その一報からわずか4日、日産が声明を出した。「日産は筆頭株主であり続けます」と騒動の沈静化を図った。持続可能な財務状態とするため株主構成の強化は検討していく。その上で「マリノスは日産の伝統と価値観、地元を大切にする姿勢の象徴であり、私たちは今後もチームの目標達成や将来の発展を支援し続けます」と約束した。
声明を受けて柏戦の試合前に急きょ、横浜の中山社長がメディア対応した。経営のベースは変わらず、日産とのより一層の共創を強調し「私は日産でなく、マリノスの人間。マリノスがマリノスであることをきちんと守る」と誓った。
1972年(昭47)に日産自動車サッカー部として創部。50年以上の歴史を持ち、J1優勝5回、天皇杯優勝7回などと日本サッカーをけん引した。その価値、ブランド、アイデンティティーは何物にも変えられない。日産イコール、マリノス。時代は移り変わりゆくものだが一方でまた大事にしたいのも伝統というものだ。身売り騒動に揺れた1週間。大島監督は「いろんな報道があったが、それがプレーに影響したことはない」と前を向いた。残り5試合。先人たちが築いてきたものを死守すべく、J1の舞台に居続けることが求められる。【佐藤隆志】



