今季限りでの現役引退を発表した川崎フロンターレGK安藤駿介(35)が26日、川崎・麻生グラウンドで取材に応じ、思いを語った。
09年に川崎Fの下部組織からトップ昇格した安藤は、湘南ベルマーレに期限付き移籍した経験はあるが、川崎F一筋で17年、下部組織を含めると23年にわたって在籍した。引退発表後初めて報道陣の前に現れ、スッキリした表情で受け答えした。
「このチーム以外でやる選択肢はなかった。毎年毎年、1年をやり切っていた。その中で満了ということで、決断の時だなと決断しました。案外さあっさりで、言われた日は自分の中に落とし込むまで時間かかりましたけど、決断は1日、2日でできました。相談はしなかったです。自分の中で決断するときだなと。このチームで契約もらえないのが自分の運命だなと」
12年ロンドン五輪に出場するなど、世代屈指のGKだったが、なかなかレギュラーの座を奪うことはできなかった。しかし、今年2月のアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)1次リーグ第8戦で、16年5月25日のナビスコ杯・仙台戦以来、実に9年、3191日ぶりに公式戦出場を果たしたことも話題に。ケガはないが、他クラブで続けることなく現役を退く覚悟を決めた。
「このクラブが好き。そこに尽きる。これだけ長くやっていると、もし他のクラブに行ったことを想像するとここのクラブほどの熱量でできないのではないか。変な意味でサッカーを仕事にしちゃってサッカーが作業になっちゃうとサッカーが面白くなくなっちゃうなと」
先輩後輩問わず「あんちゃん」と親しまれ、ファン、スタッフ、メディアから幅広く愛された。チームに欠かせない存在としてここまで現役を続けてきた。そこには独自の考え方があった。「人に恵まれて毎日楽しく過ごせた。いい意味で仕事ではないというか、サッカーが好きで、フロンターレが好きでそこでサッカーをして、そこで変な話お給料をいただいていた感じだった」。そう言うと、こんなエピソードを明かした。
「結構昔からいろいろな選手とかに、『お前いつまでフロンターレにいるの?』みたいな話をされて、妄想の話で、『仮に違うチームから今の給料の10倍くらい給料でのオファーで3年契約で来たらどうする?』とか言われて、ぼく結構マジで、『いや残るっすよ』といった。あまりお金として考えていないですよ、と話しながら楽しくみんなで筋トレしていた。自分の価値観はそこにある。お金をいくら稼ぐとかではなく、仕事ではあるけど、仕事ではなくやりたいことをやっている。やりたいことを楽しい環境で契約がもらえるならいいかなと。決して向上心がないとか甘いとかそういう話ではない。向上できる環境はある。そこで頑張るだけかなと。そういう話をしている異質でしたね、僕だけ。『(他クラブに)いけよ』とみんなに突っ込まれた(笑い)」
出場機会の乏しい安藤駿介がこのクラブに残り続けたゆえんがそこにある。今後については「自分の力をこのクラブに還元できるのがベストだけど、現状何も決まっていない。おいおい報告できれば。ただこのクラブで働きたいのが希望です」。とクラブで何かしらの役職に就くことを目指す。「全部に興味があります。現場であれば指導者も育成の指導も、ホペイロ、用具管理も興味あるし強化部、GM業も興味ある。フロンターレに関わることなら興味がある」。
今後もフロンターレ愛を全開に、クラブの発展に尽くす。【佐藤成】



