GK後藤雅明(31)の「神の顔面セーブ」で、J2V・ファーレン長崎が8シーズンぶりのJ1昇格をつかんだ。首位で迎えた最終節はアウェーで4位徳島と対戦。前半41分に徳島に先制を許したものの、後半23分にMF翁長聖(30)が決めて追い付いた。負ければ自動昇格圏外の3位転落となる中、後半追加タイム7分に徳島に決定機を作られたが、後藤が顔面でセーブ。最後まで勝ち点1を守り切ってJ1切符を手にした。

◇    ◇     ◇

最後に訪れた大ピンチでのビッグセーブで、GK後藤が長崎の自動昇格をたぐり寄せた。

他会場の状況により、失点すればプレーオフ(PO)に回ることを余儀なくされる場面。徳島に右サイドを破られると、2人が入り込んだゴール前にグラウンダーのクロスを入れられた。2人を1人で見る形となったDF江川は「時が止まった感じだった。僕の前をボールが流れていって『やられた』と思った」。絶望的な感情が浮かんだ瞬間、体を大きく広げて前に出た後藤が徳島FWアンデルセンの左シュートを顔面でブロックした。

高木監督が「サッカーの神様がいたんだなというぐらいのビッグプレー」と称賛し、江川が「ごっちゃん(後藤)が出てきて止めたのは本当に痺れた」と口にするまでの大仕事。気合のセーブを見せた191センチの守護神は「中に相手が2人いるのは見えていた。最後はGKとしての本能。GKとして仕事ができたのは本当にうれしい」と胸を張った。

1-1に追い付いたものの、終盤は徳島に押し込まれる時間が続いた。試合がたびたび止まり、表示された追加タイム5分を過ぎてもタイムアップの笛が鳴らない。緊迫の時間が続いたが、背中に陣取る長崎サポーターの声を聞き、最後まで集中した。

「ホームの雰囲気のように後押ししてくれたことが結果につながった。できれば優勝して昇格したかったけど、3年連続でPOで敗退して、チームとしてJ1に上がることだけを求めてやってきた。それを達成できてうれしい」。昇格が決まった直後は、駆け寄ってきた仲間に押しつぶされながら、喜びをかみしめた。

金沢や山形で正GKを務め、J2で193試合出場と経験を重ねたが、J1出場は20年の湘南時代に3試合のみ。再挑戦となる舞台に向けて「上のステージで活躍できるように頑張りたい。安定感をもたらしたり、試合の流れを変えるようなGKになっていかないといけない」。長崎の歴史を変えるセーブを見せた守護神が、悲願のJ1に目を向けた。【永田淳】

◆V・ファーレン長崎 85年に有明SCとして創設。04年に国見高OB主体の国見FCと合併し、05年に現チーム名に変更。06年には国見高を強豪に育てた名将、故小嶺忠敏さんが初代社長を務めた。09年にJFLに昇格し、13年にJ2参入。クラブ名の「V」はポルトガル語で勝利の「VITORIA」とオランダ語で平和の「VREDE」の頭文字。「ファーレン」(VAREN)はオランダ語で「航海」。本拠地はピーススタジアムbySoftBank。会長はジャパネットグループの高田旭人社長が務める。

【動画】長崎GK後藤雅明が決死の“顔面”スーパーセーブ 至近距離での絶体絶命の大ピンチ