J2札幌が、今季限りで広島を退団するMF高柳一誠(25)の獲得に動いていることが12日、分かった。クラブでは来季J1に向けボランチ補強をポイントにしており、世代別代表経験もある高柳に白羽の矢を立てた。選手層が厚い広島では今季、出場機会を得られなかったが、ドリブル、パスだけでなく守備力にも定評がある。トップ下からボランチ、サイドバックまでこなせる万能MF獲得で中盤の強化を図る。

 札幌が25歳の中堅ボランチ獲りで攻撃面のてこ入れを図る。既にクラブでは来季戦力として高柳の情報収集を始めており、代理人とも接触。今後、条件面で折り合えば正式オファーを経て獲得となる。今季限りでの広島退団が発表されており、違約金はかからない。高柳自身も今季出場ゼロに終わっており、新天地での再起に燃えている。

 今季のボランチは河合と宮沢が中心的役割を果たしたが、来季構想では宮沢がFW、トップ下など1列前に入る方針。11月26日湘南戦で戦列復帰した芳賀も、左足足底筋膜炎がまだ完治していない。今季加入したMFブルーノ(27)は退団が濃厚。関係者も「将来的なことを考えて中堅の年代のボランチを加えたい」と話しておりJ1や、ACL経験もある25歳の加入は心強い。ボランチだけでなくトップ下、サイドハーフ、サイドバックも可能で、複数ポジションを望む石崎監督の指導法にも合致する。

 今季、守備はリーグ2位の32失点と安定したが得点は同7位の49得点。J1へ向け攻撃力アップが急務で、攻守のバランス感覚に秀でた高柳を加え打開したいところ。昨年10月に左膝靱帯(じんたい)の損傷で長期離脱したが、すでに回復しており問題はない。年齢的にも伸びしろが見込め、クラブの5段階計画最終章「J1定着」に向けた長期的強化にもつながる。

 広島ではジュニアユースからの生え抜き選手。ユースでは同期のMF高萩、FW前田(大分)らと全日本ユース、Jクラブユースの2冠を果たすなど広島ユース全盛期を築いた。高1でトップリーグ出場可能な2種選手に登録されるなどテクニックは抜群。今季は青山、高萩、森崎兄弟ら分厚い選手層に阻まれ出番がなかったが、今度は北の大地で復活へのチャンスをつかむことになりそうだ。

 ◆高柳一誠(たかやなぎ・いっせい)1986年(昭61)9月14日、横浜市生まれ。広島高陽FCから99年広島ジュニアユース入り。02年同ユースに昇格し、04年日本クラブユース、高円宮杯全日本ユースの2冠。同年7月24日のナビスコ杯東京V戦で公式戦デビュー。04年アジアユース代表。05年トップ昇格。同年U-20W杯オランダ大会代表選出も急性肝炎により出場辞退。Jリーグ初出場は04年8月14日の市原戦、同初得点は09年4月4日G大阪戦。Jリーグ通算110試合3得点。通算174センチ、68キロ。右利き。血液型A。