コスタリカが初戦でスペインに0-7で負けたため、今後の展開が複雑になったと感じている。仮にコスタリカだけ3連敗で沈むと、日本は2勝1敗でも、決勝トーナメントに進めない可能性がある。アトランタ五輪で日本はブラジルを破って2勝1敗だったが結局、3チームが同じ勝ち点で並び、得失点差で1次リーグで敗退している。

初戦で大敗したが、連勝したら突破の可能性があるのでコスタリカは、極端なことをいえば、1-0でいいわけだから、堅守速攻を貫くはず。システムは初戦と同じ4-4-2で手堅くプレーし、チャンスを狙ってくるだろう。得失点差を考えると、日本には大量得点で勝利してほしいが、攻め急ぐと相手にカウンターのチャンスを与えてしまうので焦る必要はない。前半は無理せず、まず失点しないことを優先させればいいし、ドイツ戦のように後半勝負でいい。

今の日本代表はそれぞれの選手が自分の役割を理解しているし、森保監督の戦術変化にもすぐ対応できる。監督がギアを入れるタイミングを、サブメンバーも含め全員分かっているから、勝負どころで一気にたたみかけることができる。

ドイツ戦で驚いたのは、三笘の時間をつくるプレー。左サイドでドリブル突破を仕掛けたが、相手の状況を見てボールを止め、体を反転させて味方の攻め上がりを待つプレーが2度あった。ほんの一瞬ではあったが相手の足も止まり、味方がプレーしやすい環境をつくった。ドリブルで本来のキレを見せ、パスで味方を生かすこともしていた。以前よりプレーの幅が広がったと感じた。コスタリカ戦でも、この勢いのままにプレーしてもらいたい。

以前から言っていたが、堂安はやはり決定力がある。いいシュートを打つし、いいところにいる。彼の同点ゴールがなければ、ドイツ戦はそのままのスコアで敗れる可能性が高かった。技術レベルが高く、気持ちの強い選手でもある。まだまだ高みを望んでいるはずだから注目している。

心配なのは、ドイツ戦の疲れからの選手たちのコンディション。全員があれだけ走って守って攻撃したわけだから、中3日は体力的にきつい。口には出さなくても、体に不安を抱える選手が何人かいるはず。しかしみんな「新しい歴史を作る」という使命感で、必死に走り抜くはず。その姿を見て感動する人が多いことも、みんな自覚してる。自分のため、家族のため、日本のため、力を振り絞ってくれるはずだ。(磐田スポーツダイレクター 元日本代表MF)