【ドーハ(カタール)26日】歴史的勝利を飾ったドイツ戦で決勝点を挙げたFW浅野拓磨(28=ボーフム)が2戦連続ゴールを狙う。前回の18年ロシア大会の落選から4年。逆境の時は広島時代から師事する森保監督からの期待を胸に耐えてきた。27日のコスタリカ戦では02年日韓大会のMF稲本潤一以来の2戦連発で、ドイツ戦に続き、恩師の思いに応える。

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コスタリカ戦の前日練習。浅野は時折やわらかな笑みを浮かべつつ、気合の入った表情で汗を流した。ドイツ戦では神トラップから名手GKノイアーを破る1発でヒーローになった。次戦も決めれば、02年日韓大会のMF稲本以来となる2戦連発になる。「(得点に)思い切ってやったからこそ、ボールに気持ちが乗っかるとあらためて思った」と、次戦も出番がくれば右足を振り抜く準備はできている。

コスタリカ戦も、ドイツ戦に続いて切り札起用の可能性もあるが、先発も控えも関係ない。広島時代にも森保監督のもとでプレーし、試合では劣勢のときにピッチに送られることも少なくなかった。「拓磨が決めてこい」。その言葉に何度も背中を押され、信頼を置いてきた。「俺はやれると思わせてくれる送り出し方をしてくれる。100%の自信で、任せてくださいという気持ち」。指名されたときが、もっとも自分が必要とされている瞬間。ドイツ戦同様、期待に応える決意だ。

18年W杯ロシア大会は直前でメンバー漏れした。その後の4年間は順風満帆ではなかった。19年に加入したセルビア1部のパルチザンでプレーした際には、20-21年にチームトップのリーグ18得点を挙げながら、給料未払いの問題で契約解除に。今大会前も右膝靱帯(じんたい)の負傷で実戦復帰できないまま合流した。危機と背中合わせの4年間だったが、森保監督と共闘した日々があるから、常に胸には揺らがない自信があった。

「スタートに出るのでなくチームを勝たせるのがヒーロー。内心『0-0で進んでくれ』と正直思っていたりもするので。昔からのエゴがある」。優しく快活な男にも、ストライカーが持つべき資質が備わる。プレー時間は関係ない。決勝トーナメント進出を大きくたぐり寄せる勝利の1発。虎視眈々(たんたん)と2戦連発を狙っている。【岡崎悠利】

○…MF南野はコスタリカとの縁起の良さを封印する。コスタリカは18年に森保ジャパンの初陣で3-0で勝利。南野も自身の代表初ゴールを奪った相手だ。「いいイメージはある」と活躍に自信を示した一方で「そのときとは別チームだし、状況も違う。個人的には忘れてというかあまり考えずに、今の状況でどう戦うかに集中したい」と必勝を期した。

○…DF吉田がキャプテンとしていま一度、引き締めた。決勝トーナメント進出が決まる可能性のあるコスタリカ戦を前に「W杯に出てくるチームは国を背負ってきている。どこも簡単な試合はない」とした。始まる前は「ドイツ、スペインと比べて、コスタリカが、ないがしろみたいな感じにされていたけど、そんなことはない」と全力で勝ち点3をつかむ。