サッカー日本代表MF久保建英(20)が11月27日、スペインリーグ第15節ヘタフェ戦で約2カ月ぶりの戦列復帰を果たした。

久保はスペインに来てからの過去2シーズン、負傷欠場が1度もなく、ケガに強い印象を与えていた。しかしスペイン3シーズン目を迎えた今季、6戦目となった所属元のレアル・マドリードとの一戦で右膝半月板を負傷し、2カ月もの長期離脱を余儀なくされ、計8試合を欠場した。

久保は負傷前、リーグ開幕のベティス戦は加入の遅れによりベンチスタートだったが、その後はルイス・ガルシア監督の信頼を勝ち取り、Rマドリード戦まで5試合連続で先発出場。マジョルカのシーズン開幕からのリーグ成績は6試合2勝2分け2敗の勝ち点8と、昇格組にしては十分評価できるものだった。

一方、久保負傷中の成績は8試合1勝4分け3敗の勝ち点7、さらに6戦連続未勝利と、勝ち点を積み重ねることに苦しんだ。マジョルカ低迷の理由については判定に恵まれていないことやリード後の決定力不足、90分間戦い抜く集中力を欠いていることなどが挙げられていた。実際、この8試合のうち4試合、終盤の失点により結果が変わり勝ち点をいくつも落としていた。そのためスペインメディアは戦列復帰した久保に、チームの悪い状況を好転させる救世主として大きな期待を寄せている。

マジョルカの地元紙ディアリオ・デ・マジョルカは「ヘタフェ戦の数少ない朗報はタケ・クボが2カ月5日ぶりに復帰したこと」と、内容があまり良くないままスコアレスドローに終わった試合の中で光明を見出した。しかし、「スタンドの観衆から熱い拍手を受け後半23分に出場し、いくつかのコンビネーションやハッピーエンドとはならなかったクロスを試みるも、あまりプレーに関与できなかった。復帰後4回しか練習参加できていないためリズムを欠いていた」と久保がまだ本調子でないことを指摘。それでも「マジョルカは残りのシーズン、タケ・クボの才能を逃すわけにはいかない」とチームにとって重要な存在であることを強調した。

もう1つのマジョルカの地元紙ウルティマ・オラはヘタフェ戦の久保のパフォーマンスについて「ケガから2カ月ぶりに復帰し、攻撃を扇動しようと試みたが試合勘を欠いていた。しかし李康仁(イ・ガンイン)との連係は良かった」と総括し、復帰初戦のため物足りない部分はあるものの、アジアンコネクションに一定の評価を与えていた。

ルイス・ガルシア監督は久保について、徐々に出場時間を増やしていくことを明かしているため、先発出場はまだ先になりそうだ。また指揮官は1日開催の4部ヒムナスティカ・セゴビアーナとの国王杯1回戦に向け、「膝の状態は完璧」と伝えたものの、ピッチコンディションの悪さを懸念しており、久保に全く出番が与えられない可能性がある。そのため復帰2戦目は4日にアウェーで行われる、昨季のリーグ王者アトレチコ・マドリード戦になるかもしれない。

2カ月もの長期離脱から戻ってきた久保はこの後、年明けのワールドカップ(W杯)予選を視野に入れつつ、試合を重ねながら本来の調子を取り戻すための戦いに挑むことになるだろう。そんな中、レギュラーの座を再び勝ち取れるのか、そしてチームの7戦連続未勝利という悪い流れを断ち切る救世主になれるかに注目が集まるが、シーズンはまだ3分の2近く残されており、真価を発揮する時間はまだ十分ある。

久保にはマジョルカで過ごした2季前の後半戦、最終的にチームは降格の憂き目に遭ったものの、若干18歳ながらチームの中心選手のひとりにまで成長した経験があるので、その再現を期待したい。

【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)