昨季から導入されたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)をめぐる議論が、なかなか終わりそうにない。8月24日に行われたBミュンヘン対ホッフェンハイムの開幕戦をはじめ、今シーズンも早速、疑問符のつくVAR判定が目につくような状況だからだ。

最終的に主審自らスタジアム内で映像をチェックし、そのうえで最終決定を下すという現在のシステムについて、ホッフェンハイムのユリアン・ナーゲルスマン監督が異議を唱えている。大衆紙ビルトに対し、同監督は「最大の問題は、主審が(ピッチ脇のモニターを見ながら)非常に短い時間で決定しなければならないという点だ。彼らへのプレッシャーはとてつもなく大きいし、このやり方ではおそらく機能しないだろう。(VARを導入したのであれば)スタジアムではなく、ケルンにある7つのモニターの前で判定を下してほしい」と話した。

ビルト紙日曜版でジャッジ解説を担当する元国際審判員のトーステン・キンヘーファー氏は、「スタジアムのすべての人が(モニターをチェックする)主審の様子を見ているし、正しい判定-ひょっとしたらそんな(すべての人にとって正しいと言える)判定は存在しないかもしれないが-が下されることを期待している。主審に尋常ではないストレスがかかってしまうシチュエーションだ」と、ナーゲルスマンの考えに部分的に賛同しつつも、もう一方では主審の立場が揺らぐことを最も危惧している。

「もしVARが最終決定を下すようになれば、グラウンド上で裁く審判の権威は完全に失われてしまいかねないし、VARのマリオネットという存在になってしまう。そして選手たちは、主審のジャッジをリスペクトしないようになるだろう」

なお、同紙も「この(キンヘーファー氏があげた)理由により、おそらくドイツ・フットボールリーグ(DFL)はナーゲルスマンの案を採用しない」としており、ひとまずは現行のシステムのまま進んでいくと見ている。しかしVARがたびたび議論の的になっているのも事実であり、なんらかの対策を取ることは今後必要になってくるだろう。