ドイツ捜査当局は21日、11日に日本代表MF香川真司(28)らを乗せたドルトムントのチームバスを襲撃したロシアとドイツの二重国籍のセルゲイ・W容疑者(28)を拘束したと発表した。21日付の独紙ビルトが報じた。

 ノルドラインベストファーレン州内務省によると、容疑者の男はバーデンビュルテンブルク州のフロイデンシュタット出身だという。13日から捜査対象となり、14日の朝6時にロッテンブルクの自宅で逮捕された。近郊チュービンゲンの職場へ出かけるところだったという。すぐに家宅捜索が行われた。

 同容疑者は爆発事故が起きた直後、ホテル従業員にとって目につく行動をとっていた。ほかの宿泊客全てがホテル内で慌てふためく中、ただ1人全く動じずにホテル内のレストランに姿を現し、ステーキを注文したという。

 また、ホテルのチェックイン時に珍しい注文をした。最初に提示された部屋は道路に面した窓がないために断った。その部屋からだと、襲撃事件が起きた場所を見ることができない。代わりに通された部屋からは見渡すことができたという。

 動機の可能性として挙げられるのは金銭面の問題。同容疑者はホテルの部屋からオンラインで7万8000ユーロ(約936万円)相当の株を購入している。コムディレクト銀行の職員はマネーロンダリングの疑惑でこの件を警察に通報した。口座を調べた結果、セルゲイ・WがそのホテルのIPアドレスから購入していたことが分かった。

 ドルトムントの株が急落した場合、最高390万ユーロ(約4億6800万円)のプラスになるはずだったという。これまでの調べによると同容疑者は事件の起きた4月9日から13日と、フランスで行われる第2戦(19日)に向けて16日から20日でドルトムントが宿泊するホテルを予約していた。下調べのために3月7日から9日まで同ホテルに泊まっていたことも分かった。

 同容疑者は爆弾を自作できることも報じられた。15年7月に電子工学と生産技術の分野で学校で賞を受けている。関係者によると遠隔操作の爆発物を作れるだけの知識と腕を持っている。

 警察は現在2人のロシア人共犯者を追っているという。この2人がレンタカーでフロイデンシュタットから爆発物を載せてドルトムントへ運んだとされている。