陸上男子ハンマー投げで04年アテネ五輪金メダルの室伏広治(40=ミズノ)が12日、28歳の一般女性と結婚した。所属のミズノが発表したもので、相手は会社員で名前、写真は非公表とし、挙式、披露宴は検討中。前人未到の21連覇がかかる日本選手権(6月、新潟)と5年後の20年東京五輪に向けて人生の伴侶を得た。

 「鉄人」室伏が、結婚を発表した。相手は28歳の一般会社員で、知人の紹介で知り合ったという。室伏は「性格は大変明るく、穏やかで思いやりがあり、良きパートナーとして人生をともに歩んでいきたいと思います」とコメント。挙式、披露宴は時期、形式を含めて現在検討中だ。

 室伏は、五輪で04年アテネ大会金、12年ロンドン大会銅を獲得。現在は20年東京五輪・パラリンピック組織委員会で競技運営の調整役であるスポーツディレクターを務めている。東京を拠点に海外を飛び回る多忙な日々の中で愛を育んだ。

 結婚後初の試合は、21連覇がかかる6月の日本選手権になる見通しだ。春先には「正直、自分が勝つためじゃない。僕は踏み台。『あの年でやってんのか、負けられない』という若い選手に出てきてほしい」と話している。その一方で20年東京五輪について「地元で最高のものを見せられればいいなとは思う」と、意欲も見せている。

 室伏は今年4月、5年後の抱負を「疾風知勁草(しっぷうにけいそうをしる)」という言葉で表現。「成し遂げようとする意志は、強風が吹いた時にこそ、真価が問われる。この言葉を思い起こすことで、踏ん張ろうと思える」。国家的なプロジェクトと現役選手の両立は簡単ではないが、12歳年下の新妻を得て「安定した環境の中、2020東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて重責をしっかり果たしたいと思います」とコメントした。

 ◆室伏広治(むろふし・こうじ)1974年(昭49)10月8日、静岡県沼津市生まれ。成田-中京大-ミズノ。11年から中京大スポーツ科学部准教授、14年10月からは東京医科歯科大教授に就任。また20年東京五輪・パラリンピック組織委員会でスポーツディレクターも務める。五輪は、04年アテネ大会金、12年ロンドン大会銅。日本選手権は20連覇中。自己ベストは84メートル86。187センチ、103キロ。

 ◆金メダリストの結婚 00年シドニー以降の個人種目の金メダル総数は4大会で35個。連覇などで、金メダリストは23人になる。04年柔道の谷亮子、12年ボクシングの村田諒太ら結婚後に獲得した選手もいるが、多くは独身。結婚は引退後か競技人生のピークを過ぎてからが多い。トレーニング法の進化や競技環境の整備で選手寿命が伸びたために、トップアスリートの晩婚化も進んでいる。

 ◆疾風知勁草(しっぷうにけいそうをしる) 強い風が吹いて、初めて強い草が見分けられるように、苦境や試練にあって初めて意志の強い人であることがわかること。出典は「後漢書」王覇(おうは)伝。