今季世界最高は女子400メートルのアリソン・フェリックス(31=米国)が49秒65、男子800メートルのニジェル・アモス(23=ボツワナ)が1分43秒18と、2人がマークした。男子3000メートルは地元の英雄モー・ファラー(34=英国)が快勝。110メートル障害はアリエス・メリット(31=米国)、100メートル障害はケンドラ・ハリソン(24=米国)と、男女のハードル種目は世界記録保持者コンビが優勝した。

 女子400メートルは2年前の北京世界陸上優勝者のフェリックスが、49秒65の今季世界最高で快勝した。前半から体1つリードして最後の直線に入ると、力みのない滑らかな走りで2位以下を引き離した。

「良い走りだったわ。試したいプランがあったので、今日は自分の走りに集中して走ったの。来月の世界陸上までに別のトレーニングも考えているので、このタイミングでレースを走ることができて本当によかった」

 フェリックスはロングスプリント(200メートルと400メートル)の女王で、世界陸上ではリレーも含め9個の金メダルを持つ。以前は200メートルがメインで05、07、09年と世界陸上では3連勝。11年の世界陸上は3位と敗れたが(400メートルで優勝)、翌12年のロンドン五輪で金メダルを獲得した。

 15年は400メートルで北京世界陸上に優勝したが、昨年のリオ五輪はショーネー・ミラー(23=バハマ)に0・07秒差の2位と敗れていた。

 来月の世界陸上もロンドン開催。5年前と同様に“翌年のロンドン”で金メダル奪還に燃えている。

 地元世界陸上で五輪&世界陸上5度目の長距離2冠(5000メートル&1万メートル)を目指すファラーは、男子3000メートルに7分35秒15で優勝。残り450メートルからのスパートで2位に1秒17差をつけたが、タイム差以上の強さを感じさせた。

「このスタジアムは私にとってはホームなんだ。私はここで有名になり、人生が変わった」

 ロンドン世界陸上後はマラソン転向のプランを進めている。5年前に初めて2冠を取ったスタジアムで、トラック競技人生のフィナーレを飾る。

◆今季の女子400メートル

 フェリックス、ミラーともダイヤモンドリーグ出場は1試合で、ミラーが5月の上海大会で49秒77、フェリックスは7月のロンドンで49秒65。2人とも今季世界最高だったが、まだ全力を出し切っていない印象だ。

 ミラーは5月のユージーン大会200メートルで21秒91の自己新と、スピード面の強化にも力を入れている。フェリックスも同様に、全米選手権は100メートル8位、200メートルでも準決勝突破(決勝は欠場)と、400メートルには出なかった。

 2人の直接対決は15年の北京世界陸上、16年はリオ五輪の2度しか実現していない。3度目の対決は、この種目8年ぶりの48秒台での決着になりそうだ。