【ロンドン4日=上田悠太】マラソンは男女とも今日6日に号砲が鳴る。最後の日の丸を付けて戦う川内優輝(30=埼玉県庁)は05年に亡くなった父葦生(あしお)さん(享年59)の思いも胸に戦う。

 ロンドン出発前。埼玉県内にある父の墓前で手を合わせた。「最後にしっかり戦ってきます」。葦生さんは国体にも出場した元ボクサーだった。その闘争心を受け継いだ。ケガが多かった埼玉・春日部東高時代には「疲れて仕事帰ってきても、マッサージをしてくれた」と感謝する。天国にも届く快走をする。

 「メダルを目標。少なくとも入賞以上を狙いたい」と言う。自信を裏付けるものがある。ロンドンには「自分を振り返る意味で」と初めて日の丸を付けて戦った11年からの練習ノート7冊を持参した。自己記録2時間8分14秒を出すなど好調だった13年の時を見返すと「練習がかなりいい水準でできている」とタイム、練習量とも上積みがあることに気が付いた。ロンドンに来て、過去との成長を感じ取り、自信を深めた。

 これが71回目のフルマラソン。「いい位置でついて、(落ちてくる選手を)どれだけ拾えるか」。集大成の走りを見せる。