“世界初”への挑戦は、極寒との戦いになりそうだ。17年世界選手権9位の川内優輝(30=埼玉県庁)が29日、米国遠征のため羽田空港から出発した。

 来年1月1日にボストン近郊で行われるレース「ニューイヤーズデイマラソン」に出場。そこで76度目となる2時間20分切りを達成すれば、川内によると単独世界最多になるという。ただ、問題は寒さ。「気温がよければそれなりのタイムをいきたいと思っていたんですけど、ボストンの気温をみると最高でマイナス8度とかなので…」。風速も考えれば、体感気温マイナス25度にもなりかねない厳しい状況で「ちょっとやばいと思う」。今回は、レース時に着用する帽子やタイツを持参し、さらに給水ドリンクも温かいものにする予定。「世界記録2時間20分だけをきることだけを目標にやらないと」と、無理せずに走るつもりだ。

 12月17日の防府読売マラソンで優勝し、20年東京五輪代表の選考会であるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権を獲得。東京五輪に出場しないと明言しているだけに、MGCに出場するかに注目が集まるが、「いやー、まだ1年半あるので」と近くなってから決断するとした。

 来年18年は、4月に予定する世界最高峰の大会、ボストンマラソンに集中する。今回のボストン遠征はその下見も大きな目的だ。今年のボストンでは、初マラソンの大迫傑(26=ナイキ・オレゴンプロジェクト)が、瀬古利彦氏以来30年ぶりの表彰台にあがり、話題となった。その2人の領域にいきたいか、との問いには「そうですね」と即答。「(レースの)激しい上げ下げの中で、世界の強豪と勝負したい」と、レベルの高い戦いを心待ちにした。