2020年東京オリンピック(五輪)開幕までちょうど2年となった24日、各地で代表候補が胸の内を明かした。陸上男子100メートルで9秒98の日本記録を持つ桐生祥秀(22=日本生命)は欧州遠征から帰国し個人での決勝進出のため9秒台を「5本に1本」出せるよう地力を上げる目標を掲げた。

 桐生は自らに言い聞かせるように口を開いた。帰国した羽田空港。「リオで盛り上がっていたのがもう2年前。それを考えると早い。2年はすぐ来ると思う。個々の能力も上がれば、リレーにも貢献できる」。限られた時間で走りのアベレージをもう1段階上げていく。

 9秒台でも騒がれることなく、当たり前に出せるのが理想だ。「9秒台を安定して出さないといけない。条件がそんなによくなくてもタイムを出したい」と言った。もちろん自己記録9秒台は日本人ただ1人だが、公認記録で過去10度の10秒0台も山県と並び最多タイ。9秒台を「感覚としては5本に1本」と思い描いた。今季は海外遠征を多く積み順位を求めてきたが、9月以降のレースは記録を欲していく。

 5月から新たに段階的な加速を意識して取り組んでいた。18日のスイスでの競技会では「何も考えず」とスタートの低い姿勢から顔が上がった瞬間、トップギアを入れると、今季最高の10秒10が出た。桐生は「コールマン選手やガトリン選手と走り、前半はいけている感じがある。最後までしっかりと走りトップスピードを上げられれば」と収穫を得た様子だった。「頭脳的」と「本能」。そのバランス点を見つけた果てに、2年後の栄光はある。【上田悠太】