スポーツがある日常が少しずつ戻ってきた。新型コロナウイルス感染拡大に伴う活動制限も緩和傾向。「密」を避ける、道具の共用禁止、少人数での練習などスポーツ界も動き始めた。国内競技団体(NF)を軸に、各競技が活動再開の指針を独自で制定。「スポーツ再開への道~ガイドラインあれこれ~」と題し連載する。感染防止に留意しながら、その競技ならではの問題に苦心する各NFの今を追った。第4回は陸上。

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陸上は7月から徐々に競技会がスタートしていく。基本的に屋外の個人競技だが、感染予防を徹底するガイドラインが存在する。

大会を運営するスタッフには“年齢制限”を設定した。「65歳以上の競技役員には、原則として、委嘱しないことが望ましい」と明記。大会の主催者には、糖尿病、心不全、呼吸器疾患、また透析を受けている人、免疫抑制剤や抗がん剤を用いている人には辞退を促すように求めている。感染すれば、重症化のリスクが高い人を守るルールだ。日本陸連の尾県専務理事は「プロ野球も開幕し、スタンドに人がいなくても盛り上がっている。日常に戻るためにはスポーツは必要。さまざまなリスクを考え、安全、安心を確保した上で、陸上も競技会を再開させないといけない」と話す。

レース後に倒れ込む選手を手助けするスタッフにはマスク、使い捨て手袋の着用はもちろん、目からの飛沫(ひまつ)感染を防ぐため、ゴーグルかサングラスの着用もお願いしている。ゴーグル(サングラス)は毎回、アルコール消毒することも求められている。選手が「手洗いへ直行する動線」を確保する配慮も、盛り込まれている。タイムスケジュールや参加人数も余裕ある運営が必要としている。

出場する選手だけでなく、コーチ、審判員も含め、大会の1週間前から2週間後までの検温なども義務付けられている。感染予防を徹底する“新たな大会様式”で、未知の難局を乗り越えようとしている。【上田悠太】