陸上男子短距離のケンブリッジ飛鳥(27=ナイキ)がワイルドに大変身した。今季初戦に挑んだケンブリッジの口元にはヒゲが蓄えられていた。指摘されると、「特に理由はないですけど」と笑った。周囲にすすめられ、春ごろから伸ばし始めたという。評判もよく「しばらくはこのまま行こうと思う。似合います?」と白い歯を見せた。イメチェンしても、さわやかさは変わりなかった。

レースは小雨の中で10秒29(追い風0・3メートル)。9組1着で準決勝進出を決めた。「10秒25ぐらいで走るイメージだった。天候を考えれば悪くない」と振り返った。

この日はオリンピック(五輪)の1年前。「(延期について)僕はネガティブに考えていない。この2年はいいシーズンとは言えなかった。1年準備する期間が増えた。ほっとするとまではいかないが、1年の猶予ができてよかったという自分はいます」。とはいえ、与えられた猶予期間も「長いようで、あっという間。時間はできたかもしれないですけど、余裕ができたわけではない」と捉える。コロナの脅威は増し続け、五輪の開催可否も問われる現状には「やることを信じて準備をするだけ」と言う。今季は17年に出した自己記録10秒08の更新を見据える。「来年戦う自信をつけられたらいい」と語った。