19年世界選手権日本代表の佐藤友佳(28=ニコニコのり)が4投目で58メートル43と大会記録を更新し、2連覇を果たした。新型コロナウイルスによる自粛が明けて約1カ月半。マスク越しに「(東京)五輪シーズンだったら納得できない。でもコロナ明けなので、満足です」とほほえんだ。

やりが投げられない-。

自粛はやり投げ選手にとっても、厳しい日々だった。拠点としている兵庫・尼崎市のベイコム陸上競技場が使えず「夜、高架下の壁にメディシンボールをぶつけていました。それと自分にできるのは、家にいることでした」。競技場の使用再開は6月。今度は1~2カ月間、やりを投げられなかった反動が襲ってきた。

「久しぶりに競技場で練習をしたら、左足の土踏まず辺りの筋肉を痛めました。(再開後)1カ月をかけて、徐々に通常の練習に戻せたような形です」

東大阪大敬愛高3年だった10年には、当時の高校新記録(57メートル31)で全国高校総体優勝。東大阪大でも当時の日本学生記録(59メートル22)を樹立した。卒業後は幼稚園の職員と並行して競技を続けた。

転機は18年春。文字通り、のりを製造、販売するニコニコのり(本社・大阪市)へ所属先を変更し、競技と向き合う時間が増えた。翌19年には世界選手権(カタール・ドーハ)に初出場を果たした。

現在の自己ベストは、19年日本選手権で記録した62メートル88。東京五輪の参加標準記録は、64メートル00に設定されている。

「来季60メートルを安定させることで、64メートルの標準記録が見えてくる。本番は五輪。(今年)12月から選考が始まるので、そこに向けて、何ができるかを考えていきたいです」

五輪開幕まで1年となった日に、力強く発した誓い。21日に誕生日を迎えた28歳は、決意を新たに、目標へ歩み始めた。【松本航】