女子ハンマー投げは、村上来花(らいか、青森・弘前実3年)が前評判通りの力を発揮し、59メートルの大会新で初優勝した。自らが持つ62メートル88の日本高校記録更新はならなかったが、大会記録を2度塗り替え、目標にしていた初タイトルを獲得した。

    ◇    ◇    ◇  

同世代に敵なし。2大会連続出場の村上が後続を8メートル以上もぶっちぎる異次元の力を見せつけ、1年時に11位に沈んだ悔しさを晴らした。1投目、鉄球にワイヤーとグリップがついた重さ4キロのハンマーが大きな放物線を描き、これまでの大会記録(56メートル79)を示すブルーラインを突破した。57メートルで早々と首位に立ち、順当にトップ8入りした村上は5投目、自らの大会新をさらに更新する59メートルをマークし、勝利を決定づけた。村上は「1投目に記録を残して徐々に上げていくつもりでしたが、57メートルが出ると思っていなかったので(2投目から)力が入ってしまった。59メートルはもう1度挑もうと気持ちを切り替えて力を抜いて投げた。高校1年の時の悔しさをやっと晴らせました」と声を詰まらせながら「2度の大会新」を振り返った。

昨秋の東北新人大会で61メートル02をマークし、歴代高校生で初の60メートル超えスローワーになった。6月の日本選手権は62メートル25のセカンドベストで3位入賞を決め、高校生として24年ぶりのメダル獲得。すでに国内上位にランク入りしているが、「大人たちと戦う方が気持ちが楽。高校生が一番輝けるのが舞台がインターハイ」と記録よりも勝負にこだわった。

常に自らとの闘い。メンタルを一番の課題にして急成長を続けてきた。コロナ禍の中、ケニア開催のU-20世界選手権への派遣が中止になり、「やっと世界に出られると思ったのに」と落胆している。だが24年パリ・オリンピックの期待を背負う村上は「1つの目標を達成できたので(将来的に)まず日本記録を出したい。世界記録はまだまだですが、希望にして練習したい」とハンマーに夢を乗せて投げ続ける。【佐々木雄高】

◆村上来花(むらかみ・らいか)2004年(平16)1月13日生まれ、青森・弘前市出身。弘前一中1年から陸上(短距離)を始める。弘前実から本格的にハンマー投げに取り組む。日本選手権は20年5位、2年連続出場になった年は3位入賞。自己ベストは日本高校記録の62メートル88。家族は両親、兄、姉。身長164センチ。