男子短距離で、五輪2大会出場の高瀬慧(32=富士通)が今大会でスパイクを脱ぐことになった。現役最後レースは1600メートルリレー決勝。第3走者を務め、優勝に貢献した。「幸せ者だった。最後まで真剣勝負をできて、すごく最高の時間を過ごすことができた。ここまでやり切れてよかった」。そう言葉に実感を込めた。

静岡西高では200メートルと400メートルで全国総体準決勝。順大を経て、11年に富士通入社。五輪には12年ロンドン、16年リオデジャネイロ、世界選手権には13年モスクワ、15年北京と2大会ずつ出場した。

自己記録は100メートルが10秒09、200メートルが20秒14。日本トップレベルのスプリンターとして活躍してきた。

日本が銀メダルを獲得した16年リオデジャネイロ五輪男子400メートルリレー。高瀬は出場メンバーの候補だった。だが、結局、走ることはなく、補欠に回った。

「正直、走りたかったが、それが実力。チーム一丸で銀メダルを取れたのは大きいこと。そこに少しでも関われて、サポートできたのは誇り。その経験があったから、リオの後も競技ができた。もしも、走ってメダルを取れていたら、そこで競技を辞めていたと思う。それがあったから競技を続けられた」

今後は社業に専念する。また同時に将来的は指導者になりたいとの気持ちも持つ。「まずは知識、経験を積んでいきたい」と思い描いた。