18回目の大会で日本勢初の男子100メートルのファイナリストとなったサニブラウン・ハキーム(23=タンブルウィードTC)は、10秒06で7位だった。1位はカーリー(米国)で9秒86。2位にブレーシー、3位にブロメルが入り、米国勢が表彰台を独占した。

第1レーンのサニブラウンは中盤までは先頭を並んで疾走したが、後半は米国勢らに後れを取った。レースを終えたサニブラウンは「準決勝で使い切った感じがあって、体の動きはよかったけど、最後のツメが甘かった。準決勝より全然緊張しなくて、冷静でした。ものすごく悔しいけど、出し切った。最終的には満足できる世界陸上になっていると思う」と話した。

決勝の1時間50分前に行われた準決勝は、1組で10秒05の3着。全3組で各組2着の自動進出こそ逃したが、タイムで拾われ8人の決勝枠に残った。世界大会における同種目での日本勢の決勝進出は、1932年ロサンゼルス・オリンピック(五輪)の「暁の超特急」吉岡隆徳以来、90年ぶりの快挙だった。

前日の予選では向かい風0・3メートルの条件下で、全体6位の9秒98をマークしていた。日本勢で初めて、世界選手権の大舞台でついに9秒台を刻んだ。

7年前の15年北京大会。16歳172日の世界最年少で200メートルの予選に出場し、準決勝に進出して世界を驚かせた。昨年度はヘルニアによる腰痛に苦しみ、200メートルに出場した東京五輪も予選敗退に終わるなど、不完全燃焼だったが、“世陸”にめっぽう強いサニブラウンが、またしても世界に名をとどろかせた。

「これを糧にまた来年も(世界選手権が)あるので、リベンジしてメダルを取りたい。米国は強いなと身に染みて感じた。まだまだ自分自身これからなので、もっと練習して米国の壁を崩していければ」と、サニブラウンはさらなる成長を誓った。