駒澤大(駒大)が3連覇を達成した。記録は5時間6分47秒で、駒大が2年前の第52回大会でマークした5時間11分8秒の大会記録を大幅に更新した。

全国8地区の代表25校と日本学連選抜、東海学連選抜の計27チームで争われた日本一決定戦を圧倒的な強さで制し、最多15度目の優勝(2位は日体大の11度)。出雲、全日本に続く来年1月の箱根駅伝で、史上5校目となる「3冠」に大きく前進した。3分21秒差の2位に国学院大、3位に青学大、4位に順大が続いた。5位に創価大、6位に早大、7位に中大、8位に東洋大。上位8チームが来年のシード権を獲得した。大会MVPには駒大の田沢廉(4年=青森山田)が3年連続で選ばれた。

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10月10日の出雲駅伝を大会新記録で完勝した勢いは、伊勢路でも衰え知らずだった。1区で円健介(4年=岡山・倉敷)が首位の大東大ワンジルから19秒遅れの4位に付けると、スーパールーキー佐藤圭汰(1年=京都・洛南)が2区で4位から2位に押し上げ、流れを呼んだ。

3区の山野力(4年=山口・宇部鴻城)が力強い走りで首位に立つと、さらに4区ではルーキーの山川拓馬(1年=長野・上伊那農)が区間賞と快走し、後続とのリードを広げた。

5区の篠原倖太朗(2年=千葉・富里)も区間2位、6区の安原太陽(3年=滋賀学園)も区間4位と勢いは止まらず、首位をがっちりキープして7区の田沢につないだ。

7区は青学大・近藤幸太郎、創価大ムルワら各校のエースが顔を並べた激戦区。今夏の世界選手権に1万㍍で出場した学生長距離界のエース田沢は、気温18度と高い中、額から汗を流しながら力走。4年前にワンブイ(日大)が出した区間記録を43秒も更新する49分38秒(17・6キロ)をマーク。加えて4度出場した全日本ですべて区間賞(1年=7区、2年=8区、3年=7区、4年=7区)という偉業を打ち立てた。熱田神宮から伊勢神宮をつなぐ「パワースポット」で、まさしく神懸かり的な走りだった。

そして最終8区は昨年に続き、花尾恭輔(3年=長崎・鎮西学院)が満を持して登場。2位の青学大とは2分27秒差のセーフティーリードの中、落ち着いた走りを披露し、危なげなく先頭でゴールテープを切った。花尾も57分30秒の区間賞で、出雲に続くウイニングランナーとなった。

大八木弘明監督は大会新記録での優勝に「選手たちがよく走った。ここまで(記録が)出るとは思わなかった。選手たちが攻めの走りをしてくれた」と感激に言葉を振るわせた。駒大は8区間で3人が区間賞だった。

名将、大八木監督にとっては過去14度優勝と得意の伊勢路だった。5日の会見では「選手たちが今年3冠を狙うと言ってますので、それに向かって、全日本も取って、2冠で箱根に向けてしっかり準備していきたい。ミスさえしなければ80~90(%)までいけるかな」と優勝確率を明言し、自信をみせていた。

この日は出雲の最終6区で区間賞の鈴木芽吹(3年)が欠場しており、箱根ではさらなる上積みも予想される。

「スピードはついてきている。今年はスタミナが大事かな。今年の目標は3冠でしたので、とにかく箱根までしっかり戦えるチーム作りしようと。持久的な所も含めて強化してきた。その辺はできてきたかな」。箱根モードに仕上げてきた指揮官の狙いが、伊勢路でも結実した。

3冠を成し遂げたのは過去に4校のみ(大東大=1990年度、順大=2000年度、早大=2010年度、青学大=2016年度)。

駒大は過去2回、出雲と全日本を制して「王手」をかけたが、箱根で敗れた。3度目の正直へ。三大駅伝通算26勝目を挙げた大八木監督にとって、悲願の時が近づいてきた。【阿部健吾】

【区間賞】

▽1区(9・5キロ)ワンジル(大東大)26分58秒=区間新記録

▽2区(11・1キロ)葛西潤(創価大)31分12秒=区間新記録

▽3区(11・9キロ)石原翔太郎(東海大)33分48秒

▽4区(11・8キロ)山川拓馬(駒大)33分41秒

▽5区(12・4キロ)青木瑠郁(国学院大)35分50秒

▽6区(12・8キロ)吉居大和(中大)37分1秒=区間新記録

▽7区(17・6キロ)田沢廉(駒大)49分38秒=区間新記録

▽8区(19・7キロ)花尾恭輔(駒大)57分30秒

【成績】

1)駒大=5時間6分47秒

2)国学院大=5時間10分8秒

3)青学大=5時間10分45秒

4)順大=5時間10分46秒

5)創価大=5時間12分10秒

6)早大=5時間12分53秒

7)中大=5時間13分3秒

8)東洋大=5時間5時間13分10秒

9)明大=5時間15分29秒

10)東海大=5時間16分1秒

11)東京国際大=5時間16分41秒

12)神奈川大=5時間17分30秒

13)中央学院大=5時間17分56秒

14)大東大=5時間19分7秒

―)日本学連選抜=5時間21分35秒

15)日大=5時間22分54秒

16)関西学院大=5時間25分53秒

17)大阪経済大=5時間27分14秒

18)立命館大=5時間28分0秒

―)東海学連選抜=5時間31分50秒

19)札幌学院大=5時間32分17秒

20)愛知工大=5時間32分42秒

21)皇學館大=5時間33分26秒

22)環太平洋大=5時間37分3秒

23)第一工科大=5時間41分41秒

24)新潟大=5時間43分18秒

25)東北大=5時53分1秒