第99回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)が来年1月2、3日に開催される。日刊スポーツ東北版では「箱根を駆ける東北魂!!」と題し、東北にゆかりのある注目選手を紹介します。

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中大・吉居大和(3年)が2年連続で主役を担う。前回の箱根駅伝で1区の区間記録を15年ぶりに更新。全10区間で「最古」となっていた不滅のタイムを26秒塗り替え、大会MVPにあたる金栗四三杯を獲得した。今大会の区間エントリーでは補欠だったが、当日のメンバー変更で往路に配置される可能性が高い。「前回以上の走りをしたいというか、できる自信はあります」。エースらしくチームを勢いづける。

前回大会はロケットスタートで1区の区間新記録を打ち立てた。5・6キロ付近で先頭集団を抜けだすと、そこから約16キロを1人旅。圧倒的な走りで2位に39秒差をつけた。「ある程度、早い段階から自分のペースで走って、そのペースをしっかり20キロ持たせられたのは、今はすごく自信になっています」。21・3キロをあっという間に駆け抜けた。

今季は5000メートルで7月の世界選手権出場を目指したが、右足負傷で断念せざるを得なくなった。「長期のけがはすごく久しぶりで、なかなかうまくいかないというか、足の痛みが取れず、不安や精神的にもきつい部分があった」が、気持ちを切り替え、駅伝で結果を残すことに集中。夏合宿の走行距離は昨年よりも少なかったものの、10月の出雲駅伝で1区区間賞と復活した。さらに11月の全日本大学駅伝は帯状疱疹(ほうしん)で欠場濃厚だったが、試合前日に出場を直訴。6区の区間新を樹立した。

再びインパクトを残す可能性は十分にある。藤原正和監督(41)は「苦しい中で積み上げてきた結果、今、大きな花を咲かせようとする段階に入ったので、箱根で面白い走りができると思う」と期待を寄せる。「区間賞だったり、流れを変えるエースらしい走りができればいい」と吉居大。「ゲームチェンジャー」となり、レースを支配する。【山田愛斗】

◆吉居大和(よしい・やまと)2002年(平14)2月14日生まれ、愛知県田原市出身。田原東部中、仙台育英高を経て20年に中大法学部入学。自己ベストは5000メートルが13分25秒87、1万メートルが28分3秒90、ハーフマラソンが1時間1分47秒。21年は箱根駅伝で3区区間15位、全日本大学駅伝で1区区間2位(区間新)。22年は箱根駅伝で1区区間賞(区間新)、出雲駅伝で1区区間賞、全日本大学駅伝で6区区間賞(区間新)。168センチ、49キロ。血液型B。