“マイルール”で心を落ち着かせ、世界にその名をとどろかせる。

4日閉幕の日本選手権で日本新記録を打ち立てた男子110メートル障害の泉谷駿介(23=住友電工)が5日、大阪府内で行われた8月の世界選手権(ブダペスト)日本代表会見に出席。2カ月後の大舞台へ「今まで出場した2大会とも悔しい思いで終わっているので、今回はしっかり自分の力を出し切れるよう、ファイナル(決勝)を目指して頑張っていきたい」と誓った。

泉谷は4日閉幕の日本選手権で3連覇を達成。すでに参加標準記録(13秒28)を突破しており、3位以内に入ったことで、3大会連続の世界選手権代表に内定した。

決勝では13秒04(向かい風0・9メートル)をマークし、日本新記録を樹立。昨夏の世界選手権の金メダルタイム(13秒03)まで0・01秒差に迫った。

一夜明け「まずは日本記録の更新と、代表内定ができてホッとしています」と笑顔。レースの映像を見返し「思ったよりもハードルに(足を)ぶつけていなくて、きれいにスムーズにいけている」と納得した表情で振り返った。

快挙の裏には、大学3、4年の頃から続ける“マイルール”がある。

「僕、コーヒーをよく飲むんですけど、1週間前からカフェインを抜いて、勝負の日の朝にコーヒーを飲むのが個人的な楽しみにしています」

ポイントは「勝負の時に飲む」こと。その間はカフェインが含まれるウーロン茶なども口にしない徹底ぶりだ。日本選手権でも決勝当日の朝に注入し、好記録へとつなげた。

そんなルールもあってか、重圧がかかる試合でも冷静さを保てている。「緊張感は嫌じゃなくて、楽しめるというか、プレッシャーもいいイメージで受け止められるのが、僕のいいところの1つ」と明るい声を弾ませた。

今後は海外で2試合に出場し、世界選手権へ調整を進める。昨夏は準決勝で2組5着(13秒42)となり、無念の敗退。「相手の方が体が大きくて、デカいなと思っちゃった」と海外勢に対し、心が萎縮していた。

ただ、日本選手権でメダル相当のタイムを出したことで心境も変わりつつある。「今回で結構、自信につながっている」。世界舞台へは「自分との闘い方が大事」と引き締める。

第一目標は初の決勝進出。「前半がもうちょっといけたら良かったというのがあるので、2カ月で改善していきたい」。重圧を楽しみながら、1年前の雪辱を果たしてみせる。