深めてきた自信を胸に、累積標高差438メートルのパリの坂道へ挑む。今夏のパリ五輪男女マラソン代表が25日、都内で内定選手記者会見に出席した。男子で初代表の小山直城(27=ホンダ)、赤崎暁(26=九電工)は昨秋、現地でコースを確認済み。激しいアップダウンが特徴の難コースへ自信を示した。4月15日のボストンマラソン(米国)に出場予定で都合により会見を欠席した大迫傑とともに上位を狙う。

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小山と赤崎の答えが一致した。会見の最後に日本陸連でマラソン強化に携わる瀬古利彦氏から尋ねられた。「自分にとってパリのコースは良いと思うか? 悪いと思うか?」。2人とも第一声は同じだった。「プラスだと思います!」。力強い声を響かせたのは、手応えがあるからだ。

小山は安定した走りを見せてきた。昨年3月以降に4つのフルマラソンを走破し、2大会で優勝。2月の大阪マラソンでは日本歴代10位の好記録を収めた。「試合へ出るたびに注目されたが、五輪への良い経験となった」。昨秋はパリで現地の様子を視察。15時間のフライトや起伏の激しいコースに驚いたが「アップダウンや暑さへの対策ができれば十分に可能性がある」とイメージが深まった。

赤崎は坂への対策に努めてきた。昨年10月に内定後は拠点の福岡市内の公園や合宿先で継続的に坂道で練習。2月にはアップダウンが続く青梅マラソン(30キロ)で、1時間29分46秒で優勝した。「自分は坂に強い」と自信を得た。

小山は6月以降に米国で高地合宿を予定。赤崎も5月上旬までトラック種目でスピードを鍛える。3枠目に内定した東京五輪6位の大迫に対し、2人は初の五輪。「本番で結果を出すには?」との質問にも、答えは重なった。「ケガなく練習を積むこと」。待ち受ける難コースへ、地道に土台を固める。【藤塚大輔】

○…鈴木 前田が打ち立てた日本新記録の波に乗る。1月の大阪国際女子マラソンは生中継で日本新の誕生を視聴し「衝撃的」と心に刺さった。その後、指導を受ける山下監督から「誰かが日本記録を出せば流れが来る」と助言を受け、「自分も挑戦したい」と意欲が湧き出た。パリでの好走を狙いつつ「その先のマラソンで絶対に日本新を出したい」と燃える思いを口にした。

○…一山 2度目の五輪へ、万全の準備を誓った。8位入賞した東京五輪に続く代表入りに「まさか2大会連続で五輪選手になれるとは想像していなかった」と笑顔。起伏の激しいパリのコースはまだ試走していないというが「練習のほうがきつかったと思えるよう、自信を持ってスタートラインに立ちたい」と思い描いた。

○…前田 日本新の自信を胸に五輪へ挑む。昨年10月のMGCは7位も、1月の大阪国際女子マラソンで2時間18分59秒の日本新記録を樹立。「なかなか結果が出なかったが、日本記録更新は自信になった」。日本勢最下位の33位に終わった東京五輪の雪辱へ「2大会連続で日本代表として走れることに誇りを持ち、自分の走りができるように準備したい」と見据えた。

▽細田あい(MGC3位でパリ五輪女子マラソンの補欠となり)「自分も代表として、同じ気持ちで戦えるように準備したい」