陸上の世界選手権東京大会は14日までに男子100メートルが行われ、日本勢3人はいずれも予選で姿を消した。20日に予選を迎える400メートルリレーは、どのような布陣で臨むのか。男子100メートルで10秒00の元日本記録保持者の伊東浩司氏(55)は、柳田大輝(22=東洋大)がキーマンと説明。3走に桐生祥秀(29=日本生命)、4走に鵜沢飛羽(22=JAL)の起用が見込まれる中、柳田が前半区間でリードを奪えるかがポイントになると語った。【取材・構成=藤塚大輔】

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今大会の男子100メートルは、9秒台がスタンダードになったと印象づけるものだった。出場選手の大半は自己ベストが9秒台。予選1組ではレオトレラ(南アフリカ)がいきなり9秒87を出し、決勝進出ラインは9秒97だった。昨夏のパリ五輪は9秒93。今大会の参加標準記録だった10秒00は、もはや世界大会へ出場するための最低限の基準となった。

これから日本の短距離陣に必要なのは、9秒台の再現性だ。ほとんどの日本選手が春先からたくさんの試合に出ているが、狙った試合にピークを合わせる力も求められる。サニブラウンが22年から2大会連続入賞したのは、調整力がたけていたから。8月に9秒99を出した桐生は、1歩手前まで来ている印象だ。ピーキングを磨けば、今後も9秒台を複数回出せると思う。

400メートルリレーでは、3走桐生、4走鵜沢が軸となる。桐生は10秒28で敗退したが、60メートルまでの動きは悪くなかった。リレーには全く影響はないと思う。鵜沢も200メートルで日本歴代3位タイの20秒11まで記録を伸ばしており、力がある。

後半区間の2人が固まっているだけに、鍵は前半となるだろう。キーマンは柳田だ。個人種目出場は逃したが、今季は追い風参考で9秒台が2度、公認で10秒0台が3度と安定感抜群。6月の日本学生対校選手権のリレーでは予選、決勝ともに1走を務めており、前半2区間のどちらでも起用できる。今季10秒0台を2度マークの小池は経験豊富。7月の全国高校総体(インターハイ)で10秒00を出した高校2年の清水はアンダーハンドパスでの経験が未知数だが、コーナーでは柔らかくピッチを刻むことができる。チーム事情、走りの特性を考えると1走が適任だろう。

前半区間の走順は直前の調子を見て決めるだろうが、柳田が任せられた区間で本来の力を発揮できれば勝機は高まる。1年前のパリ決勝でもアンカーには先頭でつなげていた。今大会も4走鵜沢に首位でつなげば、金メダルが見えるだろう。