2大会連続代表の山本有真(25=積水化学)は15分36秒29の18着となり、予選敗退となった。3年連続となった世界大会で自身初の突破はならなかったが、1学年先輩の田中希実の決勝進出を“アシスト”。「情けない気持ちから、うれしい気持ちも出てきた」とうなずいた。

共闘を決めたのは前夜の食事中だった。田中と同組での出走が決まると「作ってほしいペースがあったら言ってください」と自ら伝えた。

「この舞台に立てているのは、田中さんが金栗(記念)とセイコー(ゴールデングランプリ)でペースをつくってくれたおかげ。その恩返しがしたかった。田中さんに楽に予選を通過してほしかった」

山本は今年4月に田中がペースメーカーを務めた金栗記念で15分12秒97をマークすると、5月のセイコーGGPでも田中の的確なペースメークによって3000メートルで8分50秒64を記録。ともに自己ベストとなり、今大会の代表入りにもつながった。だからこそ「どうしても田中さんに予選を通過してほしい」と望んでいた。

田中からは「スローペースになった時に1周72秒で6周半(2600メートル)押してほしい」と託された。山本は言葉通りに序盤から先頭でレースを先導。ピタリと後ろにつけた田中は2500メートル手前から先頭に立ち、残り200メートルまでトップを譲らずに駆け抜けて、14分47秒14の5着で4大会連続の決勝進出を決めた。

山本は「私は頼りにしてくれるのがうれしかった。そのペースなら、自分も自己ベストを狙える。自分のためにも、田中さんのためにもなる」と役割を全う。中盤以降は後れを取って「もっと粘りたかった。垂れ散らかしてしまった」と悔やんだが、田中からはレース直後に「有真ちゃんのおかげ。2人で作ったレースだよ」と声をかけられたという。

山本は「スッキリしている」と表情は晴れやか。来年には地元・愛知でアジア大会が開催される。「(田中は)まだまだ追いつけない存在ですけど、次こそはという思い」と、早くも次の舞台を見据えていた。