1時間26分18秒の日本記録で日本女子勢初の銅メダルに輝いた藤井菜々子(26=エディオン)が、8月22日に脳卒中で死去した川越学氏への思いを口にした。

2021年からサポートを受けてきた恩師について、藤井は「川越さんのこともあって、そこで絶対にメダルを取りたいという気持ちに変わっていった。気持ちの大きさが今回は違った」と明かす。

3位浮上後、残り3キロで2度の警告を受けた。しかし、力強い腕振りで、ペースを落とさない。恩師との別れは「急なことだった。たくさん後悔をした」と藤井。それでも、当日の朝は左胸の上に喪章をつけてレースに臨んだ。

「きっと川越さんも、元気で歩いている姿を望んでくださる。周りの方もそう言ってくださった。私も喜んでくれると思う。しっかり切り替えて練習もできていた。レース中も喪章を確認しながら歩くことができました」

終盤のトラックレースでは4位のパウラ・ミレナ・トーレス(エクアドル)の猛追を受け、同タイムでフィニッシュも着差で日本女子初のメダル快挙をたぐり寄せた。普段は川越氏のことを「コーチ」と呼ぶ藤井は万感の思いとともに、恩師への感謝を口にした。

「お父さんみたいな存在。そばにいて安心する。私がテンパっても『大丈夫だから、大丈夫だから』と言ってくださった。いつも川越さんの声を聴いて、安心してスタートラインに立っていた。それが今回ないのは心細くて難しかったが、川越さんの分までというのはおこがましくて、そこまでは言えないけれど、川越さんの思いを背負って歩くことができました」