<陸上・日本グランプリシリーズ第3戦:織田幹雄記念国際陸上競技大会兼世界選手権代表選考会>◇最終日◇29日◇エディオンスタジアム広島

 男子やり投げのディーン元気(21=早大)は2投目の76メートル38で3位。ライバルの村上幸史(33=スズキ浜松AC)に10メートル近い差で敗れた。

 昨年は84メートル28を出した大会だが、今年は“風”に勝てなかった。やりが飛びやすい真正面や真後ろからは吹かず、「上がったやりがたたき落とされるような風」だった。5投目からは横風が強くなり、悪いイメージが残るのを避けるため最終6投目は棄権して試技を終了した。

 ディーンが急成長したのは昨年のこと。村上が持っていた日本歴代2位記録を破り、ロンドン五輪でも10位に入賞。ディーン時代の到来と思われたが、33歳の村上が逆襲に転じた。「村上さんはこのくらい投げられる力があると思っていました。85メートルのときは風がよかったこともありますが、低く鋭く投げられていた。風が強いときはそういう投げをしないとダメなんです。自分が去年84メートルを投げたときもそうでした」

 日本歴代2位はディーンから、85メートル96の村上に再び戻った。「また、先に行かれてしまいましたが、次に抜かすのを楽しみにします」。

 次戦はゴールデングランプリ東京(5月5日)。ディーンは当初から、強豪外国勢が多く参加するこの大会に合わせるトレーニングを組んでいた。村上ももちろん出場する。「この大会は調整らしい調整をしないで臨みましたが、来週はばっちり合わせます。目標は優勝です。勝てば記録もついてくる」。

 2人のライバル物語の第2章がスタートした。