ニッカンスポーツコムの陸上コラム「データマン野口の陸上記録のアレコレ」でおなじみの野口純正さんが、世界陸上で盛り上がる韓国大邱からホットな陸上記録アレコレ。今回は大会2日目(男子10000メートルから)についてアレコレお届けします。

 男子100メートル決勝フライング失格となったボルト。ボルトは号砲が鳴る何秒前に反応してしまったか?【男子1万メートル】

 エチオピアが金と銅を獲得したが、この種目での同一国の複数メダルは9回目。エチオピアが6回(1999年、2001年、2003年、2005年、2007年、2011年)、ケニアが2回(1991年、1993年)、東ドイツが1回(1983年)。

 

 この種目で英国(モハメド・ファラー)がメダルを獲ったのは史上初。ファラーはソマリア生まれで、内乱を避けてジブチで育ち、8歳の時に英国に移住した。

 

 2003年から世界選手権4連勝、五輪も2連勝で世界大会6連勝中だったケネニサ・ケレ(エチオピア)は6000メートルで途中棄権。2010年1月9日にエジンバラでのクロスカントリー(9キロ)に出場(4位)して以来のレースが今回だった。

 

 最初の1000メートル2分57秒08は、史上最も遅い入り(従来は、1997年の2分55秒76)。前半5000メートルが13分52秒51で後半5000メートルは13分21秒30。ラスト1000メートルは2分27秒31で、1999年の2分25秒20についで速かった。

 優勝したイブラヒム・ジェイランのラスト400メートルは52秒6で100メートル毎は、「13秒1」-「13秒2」-「13秒3」-「13秒0」(以上、スタンド記者席からの手動計時)。2位のファラーのラスト400メートルは53秒36(9600メートルのタイマー表示から計算)で100メートル毎は、「13秒0」-「13秒2」-「13秒5」-「13秒7」(手動計時)。

 

 なお世界選手権におけるラスト1周の過去最速は1983年ヘルシンキ大会を制したアルベルト・コバ(イタリア)の53秒9。五輪や他の主要大会を含めても10000メートルラスト1周を52秒台というのは、少なくとも野口の記憶にはない。

 優勝したジェイランは、日本の「ホンダ」に所属する選手。自己ベストの27分02秒81はユース世界最高記録。【男子100メートル】

 フライングで失格したボルトは号砲の鳴る0秒104前に反応した。

 世界選手権の男子100メートル決勝でフライング(ファウル・スタート)によって失格者が出たのは史上初。五輪では、1996年アトランタ大会で前回大会優勝者のリンフォード・クリスティー(イギリス)が失格したことがある。

 35歳144日で3着となったキム・コリンズ(セントキッズ)は「史上最年長メダリスト」に輝いた(「その

 13」参照)。

 4着のルメートル(フランス)は、アフリカ系以外の選手としては過去最高順位タイ(「その

 13」参照)。

 1~2位の差0秒16は、2005年の0秒17に続く大差。

 優勝記録の9秒92(向風1.4メートル)は、1・0メートル以上の向かい風の中での記録としては世界選手権最高タイム。

 優勝したヨハン・ブレーク(ジャマイカ)は1989年12月26日生まれで、21歳と245日。これは、この種目での最年少金メダリスト。これまでは、1983年ヘルシンキ大会のカール・ルイス(米国)の22歳と38日だった。【女子走り幅跳び】

 ブリットニー・リーズ(米国)が史上2人目の連覇を果たしたが、6メートル82(追風0.1メートル)の優勝記録は史上最低だった(これまでは2005年の6メートル89)。

 6センチのきん差でメダリスト3人がひしめきあったのは今回が初。これまでは、2005年と2007年の13センチが最小差だった。【女子円盤投げ】

 中国の李艶鳳が優勝したが、この種目でヨーロッパとオセアニア以外の国の選手が勝ったのは初めてのこと。

 優勝記録の66メートル52は、2009年の66メートル44についでの低いものに終わった。【男子10競技】

 トレイ・ハーディ(米国)が2009年に続き2連勝で、アシュトン・イートンがそ

 れに続きアメリカ勢が金銀を独占。この種目での同一国の金銀奪取は史上初。

 この種目での連勝は1991年から3連勝のダン・オブライエン(米国)、1997年から3連勝したトーマス・ドヴォルジャーク(チェコ)に続いて史上3人目。

 ただし、8607点は史上最も低い優勝記録に終わった。従来は、2007年大阪大会の8676点。