新型コロナウイルス感染拡大を受け、バレーボール界の現役選手やOB、OGが協力し、医療従事者に弁当を無償提供する「デリバレープロジェクト」のチャリティーオークションが6日に終了した。目標金額100万円を大きく上回る、合計153万6219円に到達。企画した元女子選手で現在は大阪市内でスペイン料理店などを営む米村信子さん(36)は「OB、OGが自発的に動いてくれた」と感謝した。

このプロジェクトは、新型コロナ感染拡大を食い止めるため奮闘する医療従事者に弁当を届ける企画。材料費や協力店への謝礼などの資金を集めるため、現役選手らの私物を持ち寄り2日からチャリティーオークションが開かれた。元女子代表の木村沙織さん、大山加奈さんや元男子代表の加藤陽一さんなど47人が協力した。

オークションでは迫田さおりさんが出品したサイン入りTシャツが、落札金額は20万円余りと最高額だった。出品者の1人で元女子選手の谷口雅美さん(43)は「彼女(米村さん)なりに何ができないかと考えた企画を聞き、ぜひ協力したいと思いました」。オレンジと紫色のサイン入りエコバッグを出品し「(米村さんは)7つ後輩ですが、いろいろなことに挑戦する姿に刺激をもらってます」と話した。

企画した米村さんは、大阪国際滝井高卒業後、Vリーグのシーガルズ(現・岡山シーガルズ)へ加入。アタッカーなどで9年間プレーした。現役引退後は好きだった料理の世界へ飛び込んだ。オーナー兼シェフとして2012年に大阪市内でスペイン料理店を開業した。訪日客向けのゲストハウス2軒とともに経営している。

米村さんの経営環境にも、新型コロナウイルスは大きな影響を及ぼしている。3月中旬から飲食店とゲストハウスを休業し、今は昼の弁当販売のみ。4月の売り上げは前年同月比で86%減で「店の家賃だけで毎月100万円近くが飛んでいく。5月も通常営業出来ないなら、(売り上げは)92%減まで広がります」。従業員の雇用は維持できるか、そもそも店を続けられるか…。心配は尽きない。

そんな状況でも、感染リスクを抱える医療従事者の奮闘ぶりを知るうちに、米村さんは何かできないか考えるようになった。「人命のために必死となって戦う人たちに、感謝の思いを伝えたい」と弁当の無償提供を発案した。ボールをつなぐように思いをつなぐ願いを込め「デリバレー」をプロジェクト名にした。

米村さんは今後、知り合いの医師と相談しながら、今月中に東京と大阪の医療機関で働く人たちへ弁当を届ける考えだ。落札者へ商品の発送、弁当を作ってくれる協力店舗への依頼、配達先の選定など、まだまだやることは多い。

それでも「ここまで目標金額が上回るのは想像していなかった」と手応えを口にする。バレーボール界一丸での動きが、今後は他競技のアスリートにも広がることを願っている。

【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)